本日の東京新聞朝刊記事より。
「混迷」という熟語がこれほどしっくりくる国も珍しいであろう。自然災害に加え、政府機能の停止、経済の低迷、社会不安の増大と、問題点を挙げていくと切りがない。同じイスパニョーラ島のドミニカ共和国と比べると雲泥の差である。ドミニカ共和国はスペイン語圏であり、中南米諸国との関係も良好だが、ハイチは中米に珍しくフランス語を公用語の一つとしており、言葉の壁も存在する。また、ハイチは1804年に中南米で初めて独立した黒人国家であり、宗主国のフランスとの関係がしっくり行っていない。隣国のドミニカ共和国はハイチから独立した国であり、独立後もハイチから干渉が続いたため、二国間の関係は悪い。また、近隣のアメリカとの関係も薄く、積極的にハイチに支援を申し出る国がないのが現状である。
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「中ロ、アフガン関与 欧米抜きで主導権」
本日の東京新聞朝刊に、中国やロシアがアフガニスタンを制したタリバンとの関係強化を表立って発表したとの記事が掲載されていた。
記事にある上海気条約機構とは、1996年に中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタンの5カ国でスタートした上海ファイブを前身とし、中ロと中央アジア諸国の旧共産圏の国々の経済や軍事の協力体制である。現在はウズベキスタン・インド・パキスタン・イランの4カ国を加え、ユーラシア大陸の3分の2、人口規模で30億人を超える世界最大の地域協力組織である。9カ国中4カ国が核保有国で、イランも核装備に前向きであり、世界最大の軍事協力組織でもある。
中央アジアは、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、アフガニスタンにトルクメニスタンを加えた6カ国である。このうち、トルクメニスタンは欧州のスイスのように、国連から「永世中立国」としての地位が認定され、他国と同盟関係を結んでいない。それ以外の5か国が中国やロシアの後ろ盾のもと、軍事協力を構築するというのは、政府側にとって美味しい話である。
アフガニスタンが国境を接しているイラン、パキスタンと経済協力関係を構築するという判断は、果たして良い結果を生むのであろうか。
スカイツリー・浅草寺ライド
同僚とスカイツリーと浅草寺をポタリングした。
途中リム打ちパンクをしてしまい、用意したと思い込んでいたチューブがサドルバッグに入っておらず、慌てて近所のイオンバイクに駆け込んだ。ただ、チューブ交換はスムーズにできた。普段からの慣れが大事だと思った。
ライド
「ペルー左派政権 迷走」
本日の東京新聞朝刊に、ペルーの政権内の路線対立の模様が報じられていた。私自身もペルーの政情や貿易など分かってなかったので、ペルーの舵取りの難しさを少し理解できた。ペルーはアンデス山脈沿いにあり、急峻な山の上にあるインカ帝国のマチュピチュ遺跡の風景を思い浮かべることができるだろうか。また新期造山帯に位置するため、地層内に莫大な圧力がかかるため、原油こそ産出しないが、天然ガスや銅、亜鉛などが輸出品に回っている。
外務省のホームページによると、一人当たりGDPは6,083ドル(2020年、IMF)あり、貧困に喘ぐという状況ではない。しかし、貧富の格差が大きく、特に、山岳地域やアマゾン地域においては、貧困層の割合が高く、電力、上下水道・衛生、灌漑等の基礎インフラが十分整備されていないなど、経済成長の恩恵から取り残されており、沿岸部と山岳地域・アマゾン地域との格差是正が大きな課題となっている。
授業の中でも触れたが、世界中どこの国も国内の経済格差の拡大が急務となっている。日本でも、与野党が給付金だの、格差を拡げたアベノミクスからの転換だの、中間層を厚くする「新資本主義」だの喧しい。こうした一部の金持ちと貧困層の対立が大きくなり、国内に分断が生じると、政治も経済も立ち行かなくなる。
こうした国内の分断を解消する手段として、強力な軍事政権による支配や、企業の資産を国有化する共産主義、コーランの平等の原理に帰るイスラム原理主義が世界中に台頭し始めている。軍事政権やイスラム原理主義の問題点を列挙するのは簡単だが、そうした体制が蔓延ってきた背景を是正していく方法を論じるのは難しい。
「ASEAN ミャンマー国軍を除外」
本日の東京新聞朝刊に、東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会談にミャンマーの軍事政権の総司令官の出席を認めないとの方向で話がまとまったとの記事が掲載されていた。
ミャンマー情勢は正直難しい。軍事政権の横暴な振る舞いは批判されてしかるべきだが、アウン・サン・スー・チーを党首とする国民民主連盟時の政権運営も決して肯定されるべきものではなかった。
ただ、米中の対立が世界各地でくすぶり、南シナ海でへの中国の進出や、英米豪の安全保障「AUKUS(オーカス)」の結成などの不安定要素が増えていく中で、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの総人口6億5千万人のASEANがまとまった行動をとることができるというのは大きい。
また、日本もどんどん世界経済から遅れをとる中で、ミャンマーを含めたASEANと真摯に向き合う外交姿勢が求められる。授業の中でも、折を見てASEAN各国について触れていきたいと思う。