月別アーカイブ: 2013年5月

『ビギナーズクラシックス 枕草子』

角川書店編『ビギナーズクラシックス 枕草子』(角川文庫 2001)を教材研究の一環でざーっと読んだ。
枕草子を特徴づける「類聚的章段」、「日記的章段」、「随想的章段」の3つはある程度まとまって収録されているのかと思っていたが、内容も時間軸もバラバラに並んでいることを初めて知った。意図的にバラバラにしたのか、後世の書写段階でページ立てが散逸してしまったのかは良く分からない。しかし、女性同士のおしゃべりを聞いているようで、あまり共感できる内容ではなかった。

『タイル』

柳美里『タイル』(文藝春秋社 1997)を読む。
『家族シネマ』で芥川賞を受賞した後の第一作である。
ちょうど突然不能になり妻と離婚した主人公の男と年齢が同じだったので、興味深く読んだ。離婚をし新しいマンションに引っ越した男が、部屋中にタイルを敷き詰め、そのタイルに上で、長年思いを寄せていた作家の女性を殺すという不気味な雰囲気の漂う作品である。性的不能が猟奇的殺人というグロテスクな営みでもってしか代償できない、中年男の悲哀が描かれている。

『デジタルの仕事がしたい』

杉山知之編『デジタルの仕事がしたい』(2005 岩波ジュニア新書)を読む。
編者の杉山氏はデジタル・ハリウッド大学の学長を務める。おそらくは編者の人脈であろうか、メディアアーティストやWebプロデューサー、映像作家などデジタル関連の仕事に携わる11人が、仕事に対する熱意やあるべき姿について語る。
興味深かったのが、11人全員がゼロイチのデジタルな世界に没頭しているにも関わらず、人脈の大切さ、コミュニケーションの重要性を強調している点である。
一昔前に大ヒットしたメールソフト「ポストペット」を開発した八谷和彦氏は次のように語る。

(デジタルの仕事がしたいと考えている高校生に必要な勉強という質問に対して)
うーん。普通の勉強でいいんじゃないかな。例えば、今みんなは自分がやっている勉強に意味を見いだせていますか? 「微分積分なんて生活の中で使わないから必要ない」とか思ってませんか。
 確かに生活の中では使いません。でも、もしもあなたが、いつか宇宙飛行士になりたい、とか、自分でロケットを設計したい、とか、メーヴェを作ってみたい、とか思っていたら、それはそのときには必要な知識だったりします。
 生活に必要な知識って、実はたいしたことありません。小学生レベルのもので十分です。でも、それは例えば平均台の上を歩いているようなものです。そこから横や斜め前には一歩も踏み出せなくなります。あなたの将来の夢や希望が、そこから大きく飛び出したものであることも十分ありえますよね。そのときになってはじめて勉強を始めるのは、効率的ではないし、きっと時間も取れません。だから、その未来の可能性のためにやっている勉強が、高校の勉強なんです。
……というのを最近思いましたね。

みなとみらい

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本日は仕事の関係で、横浜みなとみらい地区をぶらぶらと散策した。
途中マリーンシャトルに乗り、湾内を一周した。色とりどりのコンテナでいっぱいの山下埠頭や本牧埠頭をみて、日本の海の玄関の賑わいを感じた。

『バベル』


地上波で放映された、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督『バベル』(2006 米)を観た。
アメリカ、メキシコ、モロッコ、日本の4カ国で同時に起きた事件・事故について