月別アーカイブ: 2024年9月

『侍タイムスリッパー』

安田淳一監督、山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの主演『侍タイムスリッパー』(未来映画社,2024)を観にいった。
単館上映の自主制作映画であったが、評判に評判を呼び全国上映に拡大され、ネットやニュースで噂になっていた作品である。フィクションとノンフィクション、幕末と現代がそれぞれ重層的に進行しながら、絡み合い、そしてそれぞれの物語が成長していくという奇跡のような映画となっている。

また、ちょうど先月、会津若松城に行ったばかりだったので、会津藩出身の侍に想いを寄せてしまい、新撰組の活躍を描いた司馬遼太郎の『燃えよ剣』の感動もよみがえってきて、感動も一入であった。本当にいい映画に出会えることができた。観客それぞれに違った感動があるのだろう。もう一回観たい映画であった。

『アラサーちゃん 無修正』

峰なゆか『アラサーちゃん 無修正』(扶桑社,2015)を読む。
全7巻のうち、第1巻から第4巻まで読んだ。作者は元AV女優で漫画家、ライターである。10年ほど前に文化系トークラジオLifeに出演していたので、作者の名前は印象に残っていた。
「週刊SPA!」に連載されていたのもので、男性読者をターゲットに女性の恋愛観やセックス観などが漫画を通して赤裸々に語られる。同年代の犬山紙子さんやはあちゅうこと伊藤春香さんなども登場する。週刊で少しずつ読むのはいいが、単行本で読んでも同じようなテーマが続いてしまうので飽きてしまう。

『エッシャーが僕らの夢だった』

野地秩嘉『エッシャーが僕らの夢だった』(新潮社,1995)を読む。
東京郊外の「豊田市」なんて単語が出てきたので、最初は小説かと思って読んでいった。読んでいくうちに、マウリッツ・コルネリス・エッシャーという有名な幾何学模様や騙し絵の版画家の作品に魅せられた男たちを描いたノンフィクションだと分かった。物語の中心はデパートでエッシャーの展覧会を大成功させた新藤信と、アパレルメーカーのニコルの役員でエッシャーの作品を7億円で購入した、ファッションデザイナーの甲賀真里子の夫である甲賀正治である。円高のバブル期という時代背景も感じつつ、ビジネスの持つ魅力を感じる作品であった。

『スカイキャッスル』

10うん年ぶりくらいに連続テレビドラマを見た。ほとんど「TVer」で視聴することができたので、最終回まで楽しむことができた。俳優さん一人ひとりの演技が上手いので、ちょっと雑な展開も俳優さんの表情や目の動きなどで、どんどん惹き込まれていった。

『デンバーの青い闇』

青木冨貴子『デンバーの青い闇』(新潮社,1993)をパラパラと読む。
1990年10月に、コロラド州デンバーにある帝京ロレットハイツ大学に通う日本人学生が、クークラックスクランに関与する若者に襲撃されたという事件が詳細に報じられている。当の大学は経営が傾いた大学を帝京大学法人が買収したもので、海外企業を日本企業が買収していた時期と重なる。そうした日本人の行為に対する反感や、アジア系・ヒスパニック系に対する嫌悪感などが、事件の背景にあると著者は述べる。

結局、帝京大学はロレットハイツ大学をその後、数年で手放している。バブル期ならではの昔話のようである。