最後のショップライドの様子。
月別アーカイブ: 2021年10月
「『原潜』拡散の危うい潮流」
本日の東京新聞朝刊に、中央大学の目加田説子教授の原子力潜水艦の拡散への懸念を示したコラムが掲載されていた。
記事を読んでもピンと来ない人が多いだろう。先月アメリカ、イギリス、オーストラリアの3カ国の首脳が、中国の拡張を抑止しインド太平洋地域の安定と安全を維持するため、「AUKUS」と呼ばれる安全保障の枠組みを発表した。3カ国の一体展開で、中国の「一帯一路経済圏構想」をインド太平洋地域で抑え込もうという戦略である。大洋が舞台となるため、米英は豪州に原子力潜水艦の技術を供与し、機動的な軍事展開を可能としている。
授業中に何度か、中国がアフリカを市場とするために、インド洋への足掛かりを作っているという話をした。ミャンマーやアフガニスタン、スーダンなどの軍事政権を中国が後押ししているのも、全て中国の経済戦略の一環と捉えることができる。そうした膨張を止めない中国に対する包囲網に、米英豪印だけでなく、日本や韓国、台湾などの東アジアの国も巻き込まれている。また、中東でも中国と歩調を合わせるイランに対し、サウジやUAEとイスラエルが手を組み対立を深めている。
少し話はずれるが、2002年に、ハワイオアフ島付近で愛媛県宇和島水産高等学校の練習船「えひめ丸」が、米軍の原子力潜水艦に衝突沈没し、高校教員・生徒9名が亡くなるという事件があった。事故の原因は米原子力潜水艦に民間人が搭乗したこともあり、半分遊びで海底からの急上昇体験を実施したところ、海上にいた実習船に不注意でぶつかったというものだ。当時のニュースでも、原子力潜水艦の危険性が指摘されていたことを記憶している。
ちなみに、当時の首相は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務めていた森喜朗である。この「えひめ丸事故」の第一報を知ったのちもゴルフを続けて、責任ある対応を取らなかったとして辞任に追い込まれている。
非核三原則を表向きは堅持している日本では、すぐに原潜の配備とはならないという向きもあろう。しかし、中国の領海侵犯や台湾を廻る緊張の高まりで、日本でも原潜配備の声が出てもおかしくない状況であることは、これからの授業でも伝えていきたい。
『雪の話・氷の話』
木下誠一『雪の話・氷の話』(丸善 1984)をパラパラと読む。
タイトルそのまま雪と氷の話である。海氷を除く地球上に存在する氷の90%が南極に、9%がグリーンランドにある。南極の氷を日本全土だけに蔽ったとしたら、地上80キロメートルの高さに達する膨大なものである。また、永久凍土は地球上の全陸地の14%を占める広大なものである。
「ロシア艦隊が日本海で演習」
本日の東京新聞朝刊に、ロシア艦隊がウラジオストック沖で軍事演習を展開したとの記事が掲載されていた。
ウラジオストックというのはロシア語で「東方を制する」という意味で、当時の清や日本との交易を図るために、1860年に建設された新しい都市である。場所を地図で確認しておきたい。ウラジオストック沖での演習が、どこの国に対する示威行為なのかは述べるまでもないであろう。
ロシアは日本の隣国なのに、ロシアの情報は欧米メディアを通してしか日本に入って来ない。日本の外交力の弱さである。そもそも日本にロシア語が堪能な人が少ないのだ。関心がないからロシア語の人気がないのか、ロシア語の人気がないから関心が向かないのか、卵が先か鶏が先かという議論になってしまう。みなさん、ロシア語を勉強してみませんか。
「台湾、米軍駐留認める」
本日の東京新聞朝刊に、台湾の独立志向が強い民進党の蔡英文総統が、米軍が訓練支援目的で台湾に駐留していると認めたとの記事が掲載されていた。
地図を見れば分かるが、台湾の北の沖縄と南のフィリピンには米軍基地が配備されている。さらに台湾に米軍が常駐するようになれば、東シナ海と南シナ海の両方に睨みを効かせられることになり、中国の拡張を防ぐには、地政学的にベストな基地の配置である。
一方、中国の側にすれば、1つの中国であり、自らの領土に勝手に他国の軍隊が駐留するのは、我慢できない事態である。東シナ海、南シナ海とも新期造山帯に属しており、海底に莫大な原油や天然ガスが眠っている。米中のどちらが台湾との信頼関係を構築するのかというのは、東アジアや東南アジアの安全保障だけでなく、将来の周辺国のエネルギー政策も左右する羅針盤となるであろう。