堀口隆生『プロのように撮れるデジカメ写真技術』(三笠書房 2004)を読む。
技術進歩の著しいデジカメに関する数年前の入門書である。古すぎるかなと思ったが、かえってデジカメならではの特徴がはっきり書かれていて分かりやすかった。
ホワイトバランスや自動測光の仕組み、オートフォーカス、ストロボなど、デジカメが自動的にすべて計算してくれるのだが、その特性を分かった上で使うと、プロとまではいかないが、「狙い」が表現できるようになる。
特に、ホワイトバランスの設定が成功例、失敗例が並べられて分かりやすかった。
月別アーカイブ: 2013年10月
大学案内研究:文化学園大学・文化学園大学短期大学部
文化学園大学・文化学園大学短期大学部のパンフレット(2014年度版)を読む。
既存の高校を運営する学校法人が大学を増設する「郊外型」大学ではなく、まず短大・4年制大学が先に開設され、高校急増期に合わせて附属高校や系列の専門学校が増設されている。
1950年に新宿駅南口から徒歩7分という都会のど真ん中に短期大学服装科が設置され、1964年に4年制大学家政学部服装学科設置されている。その後高校や幼稚園が設立され、1985年に小平キャンパス校舎が完成し、1991年には国際文化学科と英語英文学科を有する文学部が開設されている。
パンフレットの沿革を見る限りだが、文化学園大学の失敗はこの小平キャンパスと文学部を作ったことであろう。ちょうど80年代後半のバブルの頃で、都心の大学が次々と郊外へ移転していった時期である。スポーツや医療系の学部であれば郊外のキャンパスも受け入れられるのであろうが、文化学園大学の場合、服装学部というアイデンティティが薄まった上に、本部キャンパスとの往来も不便な中央線の国分寺駅からバスで8分という場所に立派なキャンパスを構えてしまったがために、学生募集が逼迫するという事態に陥ってしまっている。
その後、新宿キャンパスの方に造形学部を開設したり、小平の方に心理やファッション、観光など、女性が興味を引きそうな学科が増設されているが、ますます大学本来の理念から遠ざかってしまっている。また、2012年からは学校名を改め男女共学が始まっているが、人気回復には至っていない。
現在では、新宿新都心キャンパスに、服装造形学科と服装社会学科をもつ服装学部と、デザイン・造形学科と建築インテリア学科をもつ造形学部、短期大学部が置かれ、小平キャンパスには国際文化・観光学科、国際ファッション文化学科、応用健康心理学科の3学科で構成される現代文化学部が置かれている。
アップル社やマクドナルド社のように、新宿キャンパスで服装学部のみという「オンリーワン・ブランド」にこだわり続けていたら、今頃はもう少し違った大学になっていたであろう。
大学案内研究:国際基督教大学(ICU)
国際基督教大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
パンフレットによると、1945年、第二次大戦敗戦から数週間の後、教育に携わる日本のキリスト者の間で、キリスト教精神にもとづく総合大学の設立計画が開始されたのが始まりである。その後、1949年に御殿場会議で「教養ある市民を教育するに適する一般教育を推進すること」「キリスト教精神の持つ善とは何か? 真実とは何か? というような哲学的、精神的な問いかけができる」「民主的思想に基づく人生哲学と実践力を持ち、新しい時代のさまざまな問題を正しく批判し、解決することのできる知性の持ち主」を育むことを目的として、国際基督教大学が創立されることになった。1953年4月に教養学部が「献学」し、4年後の1957年に大学院が開設、2011年に献学60周年を迎えている。
戦争への真摯な反省に立って開学した大学なので、入学式において、「世界人権宣言」の原則に立って法を尊び、学則に従う旨の宣誓書に署名する慣わしとなっている。
入試から定評ある教養学部であり、前半2年間は幅広い教養科目と、リベラルアーツ英語プログラムで読解力と論文作成能力を磨き、後半2年間で自分の専門分野(メジャー)を絞り込みながら研究を進めていく
大学案内研究:常盤大学・常盤短期大学
常盤大学・常盤短期大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
茨城県・水戸市にある典型的な「郊外型」大学である。1909年水戸市に開設された裁縫教授所が母体となり、女学校、高等女学校と発展していく。戦後、普通科・被服科・商業科を抱える女子高校として出発し、1966年に受け皿として短大が開設され、1983年に4年制大学が開学し、人間科学部が開設されている。1989年には大学院人間科学研究科が設置されている。その後、不況と少子化の影響であろう、毎年のように学科の増設が続く。1996年に国際学部、2000年にコミュニティ振興学部が設置され、郊外型大学のお決まりのように2008年に小学校教諭と管理栄養士の養成課程が設置されている。
現在、4年制大学は、心理学科、教育学科、現代社会学科、コミュニケーション学科、健康栄養学科からなる人間科学部、経営学科と英米語学科からなる国際学部、コミュニティ文化学科、地域政策学科、ヒューマンサービス学科からなるコミュニティ振興学部の3学部で構成され、短期大学は、キャリア養成学科と幼児教育保育学科で構成されている。
学部学科の紹介はオーソドックスな作りで、各学科6ページで構成され、学びのキーワードや学科の特色、目指すべき進路、取得できる免許や資格が分かりやすく例示されている。またカリキュラム表や授業紹介、ゼミ紹介に加え、在学生、卒業生のメッセージも顔写真入りで掲載されており、学びの概要を十分に把握することができる。
就職実績も卒業生数、就職希望者数、就職者数が学科別にきちんと明示されており、情報公開という点でも評価できる。
特筆すべきことなのか分からないが、2005年に被害者学研究科という珍し大学院が開設されている。今年2013年には博士課程も整備されている。大学のホームページを見ると、被害者学とは、「さまざまな犯罪や事故、自然災害などの被害者およびその家族や遺族を対象とし、被害による身体的、心理的、社会的、経済的な影響や、その回復、さらに被害者の権利確立や有効な支援のあり方などについて、あらゆる角度から研究していく学問」と紹介されている。法学部も医学部も持たない大学でどういった研究が行われているのかパンフレットだけでは分からないが、国家犯罪や報道被害など、アプローチしにくい分野に切り込んでいくことを期待したい。
2013年度は入学定員700名に対し、入学者は564名であった。水戸市内には国立茨城大学と常磐大学しかないので、都内の中堅大学との差別化−県内企業との連携、就職率の向上、医療福祉系の学部開設、公務員対策など−を図りつつ、茨城大学の受け皿的役割を果たしていけば、まだまだ生き残る可能性は大きいであろう。