漫画」カテゴリーアーカイブ

『東京ヒゴロ』

松本大洋『東京ヒゴロ』(小学館,2023)全3巻を読了。
出版不況でデジタル化の荒波が押し寄せる漫画業界において、アナログな画風で、心情の機微に触れるようなトガった作品を求める漫画編集者とクセのある漫画家が描かれる。五木寛之氏の小説にも、競争の激しい歌謡業界において、心を震わせる艶歌にこだわるプロデューサーを描いた作品がある。そうした時代に逆行する恐怖や不安と戦う男の物語として楽しむことができた。

『クレヨンしんちゃん』

臼井儀人『クレヨンしんちゃん①』(双葉社,1992)と『同⑨』(同,1994)を読む。
第1巻の方は、テレビアニメが放映される前、青年誌『漫画アクション』に連載されていたもので、生意気な幼稚園児の扱いに困り、振り回される大人目線から描かれている。しかし、第9巻の方はアニメの放映も始まっており、子ども目線を意識したギャグ漫画路線に変更されている。第1巻の方が、絵のタッチも異なり違和感を感じるが、30際前後の夫婦の日常という視点で面白かった。

『夕凪の街 桜の国』

こうの史代『夕凪の街 桜の国』(双葉社,2004)を読み返す。
10年ほど前に読んだことのある漫画である。前半は被曝によって直接亡くなった家族の物語、後半は疎開して被曝を免れた弟の子供世代、いわゆる被曝2世の物語となっている。その間30年近い開きがあるが、血が繋がっているように、被曝の体験もまた繋がっているというのが作者の思いである。

『アラサーちゃん 無修正』

峰なゆか『アラサーちゃん 無修正』(扶桑社,2015)を読む。
全7巻のうち、第1巻から第4巻まで読んだ。作者は元AV女優で漫画家、ライターである。10年ほど前に文化系トークラジオLifeに出演していたので、作者の名前は印象に残っていた。
「週刊SPA!」に連載されていたのもので、男性読者をターゲットに女性の恋愛観やセックス観などが漫画を通して赤裸々に語られる。同年代の犬山紙子さんやはあちゅうこと伊藤春香さんなども登場する。週刊で少しずつ読むのはいいが、単行本で読んでも同じようなテーマが続いてしまうので飽きてしまう。

『【マンガ】日本経済入門』

石ノ森章太郎『【マンガ】日本経済入門』(日本経済新聞社 1987)を読む。
プラザ合意以降、急激に円高が進む中で、生き残りをかけた銀行の企業買収や海外進出に追い込まれていく自動車産業の緊迫感のあるドラマが描かれる。アメリカの大手証券会社や大蔵省まで巻き込んで展開される国際ビジネスの現場感覚が伝わってきた。