本日の東京新聞朝刊に、イラク北部キルクーク州議会が29日、クルド自治政府が計画する独立の是非を問う住民投票に参加する決議を採択したとの記事が掲載されていた。油田地帯のキルクークはクルド人自治区外にあるため、イラク中央政府が反発するのは必死である。
キルクーク州は、過激派組織「イスラム国」が台頭した2014年から自治政府の治安部隊ペシュメルがが実効支配している地域である。一方、キルクーク州にはクルド人の他、アラブ人やトルクメニスタン系住民も多く、住民の間の溝を埋めかねない。また、隣国のトルコ、イラン、シリアの各国はクルド人自治区の独立を問う住民投票に反対の意を表明している。
「進むも地獄、退くも地獄」という状況になっている。クルディスタン地域のみがきれいに独立できれば良いのだが、様々な民族が混在しており、どちらかに旗幟を鮮明にすることは、必然的にもう一方の反発を招くことになる。周辺国が納得する形で「うやむやに流す」という方法はないのであろうか。
クルド人
トルコ、イラク、イランなどにまがたるクルディスタン地方に居住する民族で、多くがインド=ヨーロッパ系のクルド語を使用するイスラム教徒である。約3,000万人の人口がありながら、国家を形成することができず、周辺で抑圧された生活を強いられてきた。独立の気運も高いが、イラクでは政府の弾圧により、多くの難民が発生したため、国連がクルド人の保護を決議した。