月別アーカイブ: 2001年12月

『コンピュータと教育』

佐伯胖著『コンピュータと教育』(岩波新書 1986)を読む。
コンピュータの技術うんぬんというよりは、コンピュータの思考様式と人間の思考パターンの差異を指摘する中で、改めて古くさい教育論を展開するものであった。氏は認知心理学が専門のようだが、私はこの手の大きく教育学に分類されるような分野が苦手である。言語学や論理学、発達心理学などのテキストをみるだけで鳥肌が立ってしまう。

一年がやっと終わった。私にとって長い一年であった。

『浅の川暮色』

五木寛之短編集『浅の川暮色』(文春文庫)を読み返す。
表題作は金沢を舞台としたものである。私も学生時分にゼミ合宿で金沢を訪れたが、金沢は観光マップに載っているところよりも、路地裏のごみごみした所や、塀に挟まれたひょんな抜け道の方が面白かった。そのような金沢の町を思い浮かべながら読むと興味深い。

『鐘』

内田康夫『鐘』を読んだ。
日本地図を眺めながら事件の場所を確認しつつ展開を追ったのだが、旅行気分を味わいながら読むことが出来た。先日足の爪の感染症の手術をして縫ったばかりで、不自由しているので、余計に旅情が募ってきた。直ったらバイクでどこかへ出掛けたいものである。

『怪人・松本人志の謎』

天才人物を評価する会『怪人・松本人志の謎』(本の森出版センター 1995)を読んだ。
ダウンタウンの松本のシュールなギャグと吉田戦車・星新一の世界との比較が面白かった。世相・常識を斜に構えて見るという発想はありふれたものだが、その機転の速さが松本の売りなのであろう。

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

先ほど定食屋で読んでいた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(少年ジャンプ1月15日号)の話が妙に気になった。「コンビニ現代事情」という題で、コンビニの達人である店長が客の動向の先を読んで、商品を仕掛けていくという話だった。おでんや肉まんやら、マンガを並べていくのだが、それがぴったりと当たるのだ。店長の分析によると、個人の生活パターンは大方変化がないためいつも同じ時間に同じ商品を買っていくというのだ。

翻ってみるに、私も朝いつも5分と違わず同じコンビニを利用している。そこで朝食を買うのだが、コーヒーやら肉まんやらサンドイッチやらおにぎりやら大体買うものもパターン化してしまっている。私は偏向性が強いため、缶コーヒーの銘柄まで決まっている。しかもいつも同じ時間に利用するため、レジを打つ店員もいつも同じパートのおばさんである。そういえばあのピザまんの出し方といい、思い出してみれば私の動向も読まれている節がある。

近所の定食屋でも私はほとんど同じものを注文し、決まって御飯のおかわりをする。しかし、定食屋のおばさんは顔なじみで私のことも知っているため、行動パターンを読まれてもさして気にならない。しかしあらゆる商品が分刻み管理されるPOSシステムを活用しているコンビニと近所の定食屋では事情が違う。憶測に過ぎないにしろ、個人の動向がデータ化されているのでないかという恐怖は現代人の多くが共有するところであろう。