月別アーカイブ: 2025年4月

『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』

森川嘉一郎『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』(幻冬社,2003)を読む。
1980年代までは白物家電やオーディオ機器の販売が中心だった秋葉原が、1990年代に入るとパソコン中心になり、エヴァンゲリオンがブームとなった1990年代の終わりからオタクの聖地となっていった変遷が丁寧に説明されている。

著者は私と同世代で、早稲田大学大学院で建築学を学ばれており、現在は明治大学の国際日本学部で現代日本文化論を研究されている方である。後半は秋葉原論から離れるが、ラジオ会館の店舗構成の移り変わりやオウム真理教と『幻魔大戦』の関係など、興味あるテーマが多かった。

『ミツバチ大量死は警告する』

岡田幹治『ミツバチ大量死は警告する』(集英社新書,2013)を少しだけ読む。
「はじめに」の項で、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』の現代日本版を目指すと述べられているように、農薬によって天然のミツバチが大きく減少し、やがては人間の体内にも蓄積され、発達障害が増加しているとの恐ろしい報告となっている。タイトルにある「ミツバチの大量死」は「ヒトの大量死」の警告ともなっている。

農業に縁遠い私はミツバチの主な利用法は蜂蜜だと思っていたが、1997年の統計によると、蜂蜜など生産物の価値が約72億円なのに対し、受粉の価値は3453億円と、受粉の経済的価値は生産物の50倍近くもあるという事実に驚いた。

『大人のための自転車入門』

丹羽隆志・中村博司『大人のための自転車入門』(日本経済出版社,2005)を読む。
タイトルにも大人のためとあるので、中高年の自転車入門者向けに、自転車と健康についての講義の後に、自転車の乗り方や整備の仕方が分かりやすくまとめられている。

特に自転車は膝への負担が少ない運動である。膝の専門家によると、老化や使いすぎで筋肉が弱っているときに、過大な負担をかけて、膝を痛めることが多いという。膝の負担が特に少ない乗り方は、できるだけ軽いギアを使い、サドルを後方にずらして後方よりペダルを前に押し出すような踏み方をするとよい。ビンディングを用いる場合は、深めな設定がよいとのこと。

また、冬になると風邪をひく人が多くなるが、風邪の原因のウイルスの一つにライノウイルスがある。このウイルスは、喉の粘膜に感染し、34度前後の温度で増殖しやすい。
東北大学の永富教授によると、室温20度の部屋で20分間の運動をし、汗をふかず、喉元に何もあてない状態で、「喉とその奥」の温度を測ったところ、10人の平均で約33度まで下がり、元の体温に戻るまで20分以上かかったとのこと。
つまり、運動が終わった後、のどが特に冷えやすいのである。汗を服のはもちろん、喉元をしっかりと温めて、温度と湿度を保っておくことが大事である。だからこそ、冬のサイクリングではフリースとマスクの着用が望ましい。特に手足が冷えやすいので、シューズカバーなども有効である。また、手足は締め付けると血行が悪くなって冷えやすくなるので、注意が必要だ。

ニュース原稿

分会報告続々

4月12日、武蔵浦和コミセンで、各学校の代表が会した、今年度最初のくじら会議が行われた。冒頭、羽田委員長より、働き方改革の掛け声が喧しくなる一方で、教員不足の対応が現場丸投げになっている現状が報告された。続いて、新任式での情宣の様子や給与改定及び共学化の意見交換会などの県教委の情報、国会での給特法の議論、日教組の動きなどが紹介された。

各分会からの報告では、小・中学校だけでなく、県立高校や特別支援学校でも教職員の未配置が顕在化してきた事例が報告された。また、前回の鯨波でも取り上げられたとおり、近年県立高校内に特別支援学校分校の設置が相次いでいるが、県立高校の教員の中には「高校側が主で、特支分校側が従」といった意識が蔓延しているとの報告があった。特支分校の教員や生徒が県立高校の校舎の間借りをしているような肩身の狭い思いをしており、早急の改善が求められる。また、校舎の鍵開け(朝7時半!)が教員の輪番で組まれている学校があり、校長交渉で早速改善に向けて動き始めた事例の報告もあった。

他にも、新採用の教員に分掌主任が振られるケースや、男女別学校での性差別意識の蔓延、教員間のパワハラ、新聞でも取り上げられた校歌・応援歌指導など、県教委との直接交渉が必要とされるような話題も多く寄せられた。

改めて勤務時間の服務規定の確認を

協議事項では、県が提示していた2024年度末までに時間外在校等時間が月45時間、年360時間を超える教員をゼロにするという目標が全く達成されなかった点について議論された。県は今年度新たに「学校における働き方改革基本方針」を提示したが、目標を示すだけで、実効策が伴わなければ、また同じ轍を踏むだけである。

中執から、校長交渉のポイントとして、勤務時間(1日7時間45分勤務で45分時間の休憩時間)や病休の扱い、勤務時間の割り振りなどの細かい取り決めの説明があった。過去の組合の先輩が中心となって勝ち取ってきたものである。組合と県教委の合意のもとに運用してきた制度を、現場の管理職が理解していないこともあるので、不審に思ったら組合に確認の連絡をお願いしたい。

会議の最後に、今年度退職された先生とくじら採用試験講座を利用して合格された先生方を祝うささやかな会が行われた。先生方の周りに埼玉県の教員を希望している方がいたら、ぜひ実績のあるくじら講座をご紹介いただきたい。