本日の東京新聞朝刊に、日本による半導体の材料の対韓輸出規制強化措置により、韓国系企業の7割が環境が悪化しているとの調査報告の記事が掲載されていた。
ちょうど今日の発表でも韓国が取り上げられており、一昨年あたりからの日韓関係の悪化について触れておきたいと思う。
授業の復習にもなるが、戦前の日韓併合以降、日本は韓国を蔑視し、韓国人の女性を関東軍の「慰安婦」として強制的に従軍させたり、韓国人の若者を日本の炭鉱などへ強制連行させたことが分かっている。そうした戦前の犯罪について、日本政府は1965年の日韓基本条約で解決済みだとし、実際に徴用された民間の方々に真摯な謝罪をする姿勢を放棄している。そのため、一昨年に戦前に連行や徴用された方々が裁判を起こし、賠償金の支払いを巡って韓国国内の日本の製鉄所の差し押さえる事態が生じている。その判決を韓国の文在寅大統領も支持したため、日本の安倍内閣は反発し、輸出規制という政策を打ち出すこととなった。なお、1965年当時は佐藤栄作内閣で、安倍首相の叔父にあたる。
では日韓国交正常化の際に、日本は戦前の行為に対する正式な謝罪と賠償を行なったのかというと、そうではない。1910年の日韓併合条約は「もはや無効」であり、正式な謝罪は不要。また、当時支払われた5億ドルの経済援助は、もともと米国が韓国の共産化を防ぐために用意していた予算だったのだが、ベトナム戦争で財政難に陥ったため、日本が米国の肩代わりをしたものである。だから日本政府は韓国の軍事政権と米国の冷戦戦略を下支えしただけで、戦前の非道な行為に向き合うことはなかったのである。
韓国政府と日本政府の交渉よりも、まずは戦前の韓国での日本軍の行為と、戦後の日韓関係の歴史をきちんと学ぶことが大切である。