月別アーカイブ: 2013年2月

『不機嫌な職場』

高橋克特+河合太介+永田稔+渡部幹『不機嫌な職場:なぜ社員同士で協力できないのか』(講談社現代新書 2008)を読む。
雇用が流動化し、契約社員や派遣社員、外国人など様々な人たちが同じ職場で働くようになった結果、タイトルにあるように、職場の雰囲気がギスギスしたものになった、その原因と対策が分かりやすく論じられている。
論者たちは職場の雰囲気が悪くなる原因として、組織のタコツボ化とインフォーマルな情報共有の低下、仕事へのモチベーションの変化の3点を挙げている。そして、そうした問題を乗り越えた企業としてグーグルとサイバーエージェント、ヨリタ歯科クリニックの3社を取り上げている。
興味深いのが、協力し合える組織を作る方法として、昔ながらの昭和の日本の職場慣行を取り上げている点である。

『デイ・アフター・トゥモロー』

地上波で放映された、ローランド・エメリッヒ監督『デイ・アフター・トゥモロー』(2004 米)を観た。
典型的なハリウッド発「ディザスター・パニック」映画で、突然地球の北半球全域が数週間にわたって氷河期になってしまうという設定で、その極限状況下において進行する恋愛や家族愛のドラマが中心に描かれる。冒頭のカッチョいい映像と、後半の人間ドラマという流れは、数年前に観たトムクルーズ主演の『宇宙戦争』やキアヌ・リーヴス主演の『地球が静止する日』に酷似していた。

それにしても、アメリカのハリウッド映画で、この手のディザスター映画とゾンビ映画が繰り返し制作されるのはなぜなのだろうか。旧約聖書『創世記』にある「ノアの方舟」伝説や輪廻転生を否定し、最後の審判まで永遠に眠り続けるというキリスト教の死生観の影響が強いのであろうか。

『遺体 明日への10日間』

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 上と下の二人をお風呂に入れてから、ララガーデンへ出かけた。
西田敏行主演、君塚良一脚本・監督『遺体 明日への10日間』(2013 ファントム・フィルム)を観た。
平日のレイトショーということもあってか、観客が私を含め3人しかいなかったが、こうした映画を放映してくれる映画館に感謝したい。

東日本大震災がおきてから10日間、岩手県釜石市の廃校になった学校の体育館での遺体安置所の模様が描かれる。死体が次々と運ばれてくるが、祭壇もない、死者への扱いもぞんざいで、脚色はあるものの当時の現場の混乱がリアルに伝わってくる作品であった。

一応お坊さんが来てお経を上げるが

死に対しての「物語」がない日本人にとっては、ただ救いのない残酷な現実を突きつけられる。

遺体安置所で、ご遺体が丁寧にもてなされた後のご家族の表情が何ともいえない。その笑顔に遺体安置所の働く人たちだけでなく、観客の我々も一抹の救いを感じてしまう。

余震のシーンがあると、つい観ているだけで身体が揺れてしまうような錯覚を、まだ感じる。

まだ震災があってから2年経っていない。

観ながら、「物語」化されていないだけ、スクリーンにのみ没頭することができず、自身の当時の立ち振る舞いや現在の生活について考えさせられる時間となった気がする。

津波のCGやガレキシーンが全く出てこないのもよかった。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=nkjdyNAkhLY[/youtube]

 

『ここで差がつくメモ術・手帳術』

大勝文仁『ここで差がつくメモ術・手帳術:この59の使い方で「仕事力」が10倍つき「自分の時間」が豊かになる!』(こう書房 2005)を読む。
人生の大目的やビジネスのノルマ達成に向かって、細かいスケジュール管理やセルフマネージメントを強いるような「近代合理主義」を突っ走るような手帳術ではなく、ややトーンを落とし、「気分のいいスケジュール」や「私家版『ミシュラン』」「雑学メモ」「自分史の材料」など、少し立ち止まって手帳と対話することを勧めている。

一つ「なるほど」と思ったメモ活用術があった。
それは、お礼や挨拶のメモや手紙を送る際に、「Many Thanks! 先日はどうもありがとうございます」と現在形のメッセージを添えるというものである。「ありがとうございました」と過去形で感謝の言葉を書くよりも、今後の関係が続く雰囲気が出ると述べる。

確かに「昨日はお世話になりました」よりも、ちょっと文法的にはおかしいが「昨日はお世話になります」と現在形で書いた方が、過去との断絶を感じにくく、現在につながる感じがする。

手帳活用本 農密度スケール
7 フランクリン手帳、熊谷式夢手帳「計画する手帳」〜緻密なスケジュール管理
6 「超」整理手帳〜効率的な時間管理
5 今回の手帳本はこのレベル ToDoリストやポストイットを含めた効率的なビジネス手帳
4 市販の能率手帳、高橋手帳など〜一定のフォームのがありながら、活用法は自由
3 システム手帳〜自由な差し替えが可能
2 アバクリ手帳、ロフトやハンズにあるような手帳〜日付と枠だけ入った手帳
1 ほぼ日手帳、トラベラーズノート 活用法自由自在

『中国経済 あやうい本質』

浜矩子『中国経済 あやうい本質』(集英社新書 2012)を読む。
20世紀的な爆発的成長力と、21世紀的なグローバル経済に飲み込まれ翻弄する中国経済の危うさを、為替、貿易、雇用の側面から分析する。数字は全く用いられず、古い詩の引用や分かりやすい具体例、巧みな比喩を用いて、素人でも分かりやすく巨大な中国の本質を描く。

グローバル経済を分かりやすくまとめると、G7を中心とした工業先進国は、内需だけでは回らないので、輸出を増やすため自国通貨安誘導や金融緩和を進める。その結果、低金利の円やドルがその投資先を求め発展途上国に加速度的に流れている。その結果、途上国でインフレが進行し、ニューリッチが生まれる一方で、農村部を中心に格差が進行し、破壊的な貧困が生じてしまっている。途上国政府はインフレを抑えるために金利を引き上げ金融の引き締め政策を実施する。しかし、その金利を狙って余計に先進国の金が流入し、やがてバブルとなり破裂すると、途上国を越えて、世界恐慌を引き起こすというシナリオが待ち受けている。文章まとまらず。