横山彰人『住まいに居場所がありますか?:家族をつくる間取り・壊す間取り』(ちくま新書 2009)を読む。
これまでの「nLDK」の個室の充実という発想ではなく、良くも悪くも家族の交流が強制的に生まれるようなリビングを中心とした家づくりを提唱する。
月別アーカイブ: 2011年6月
『本ができるまで』
岩波書店編集部『本ができるまで』(岩波ジュニア新書 2003)を読む。
グーテンベルクの活版印刷から、現在のDTPまでの印刷技術の進歩がカラー写真とともに分かりやすく解説されている。現在でも本の原稿作成から組版までは コンピュータで可能だが、最後の印刷は紙の状態や温度や湿度、機械の熱などに刻々と対処する職人の技術が活かされている。特に、現在主流のオフセット印刷 は「水」の管理が求められ、印刷のオペレーターとして一人前になるには、最低でも7年から8年のキャリアが必要とのこと。
また、活版印刷、引いてはメディアの力が政治や社会を大きく変える原動力になってきた近代の歴史を改めて学ぶことができた。
『ニート』
絲山秋子短編集『ニート』(角川書店 2005)を読む。
ちょうど作者が現在の私の年齢の時の作品である。表題作の他、雑誌に掲載された4編が収められている。
30代の男女の心模様が描かれる。しかし、これと言ったテーマが感じられるものではなく、少々手抜きしたような小品といった感じだ。
『笑いの現場』
第3子誕生前後からてんやわんやの慌ただしさが続いている。
そんな中、少しだけゆっくりできたので、本を手にとってみた。
ラサール石井『笑いの現場:ひょうきん族前夜からM-1まで』(角川SSC新書 2008)を読む。
タイトル通り、ビートタケシや明石家さんま、志村けん、とんねるず、ダウンタウンなど現在のお笑い界を代表する人たちの人物評に始まり、ネタ漫才から、場の空気に支配された笑いへの変遷など、実際の番組に即して分かりやすく語られる。
第1次寄席ブームで最初は「よくできたお話」であったネタが、それではリアリティがなさすぎるということで、「いまそこでその人が喋っている」というネタに変化して漫才ブームが起こり、それから10年経って、「いま何か面白いことを言っているような空気」を感じさせる空気の時代に変化してきたのである。