石川結貴『スマホ廃人』(文春新書,2017)をパラパラと読む。
今多くの人が使用しているLINEは東日本大震災をきっかけに開発を急ぎ、3ヶ月後の6月にサービスを開始している。
また、幼児にスマホを使わせるなんてという非難を耳にするが、著者はその背景に社会の不寛容さが増していると指摘する。子どもにスマホを利用させる母親たちが「周囲の迷惑にならないように」という理由を挙げていた。子どもが騒いで迷惑をかけたくないから、スマホを使っておとなしくささせている。実際「騒音」を理由に保育園建設への反対運動が起きたり、公園で遊ぶ子どもの声がうるさいと訴訟になったりすることを考えるとさもありなんという感じだ。
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『〈じぶん〉を愛するということ』
香山リカ『〈じぶん〉を愛するということ:私探しと自己愛』(講談社現代新書,1999)を少しだけ読む。
専修大学の「サブカルチャー論」の授業をもとに構成されている。宮崎勤事件やニューエイジ思想、バンドブームなど現在60代となった「新人類」世代直撃の文化と人間模様について論じている。著者の本領が最も発揮された著書ではなかろうか。
「原爆作家・大田洋子を伝え続ける江刺昭子さん」
本日の東京新聞朝刊に女性誌研究家の江刺昭子さんが紹介されていた。
東京都内では昨日の夕刊に掲載されているのだが、春日部は夕刊が廃刊となったので、本日の朝刊付けの掲載となっているのが寂しい
取り上げられた江刺さんは国語国文科の先輩にあたる。29歳の時に、原爆小説『屍の街』を書いた大田洋子さんの自伝を著し、「私の最初、そして最後の仕事が『大田洋子』なのかもしれません。卒論ではないですが、ちゃんと書いたと、本人に認めてもらえたらいいのですが」と述べており、御年83歳になられた現在も文学碑の式典や被爆関連行事に参加している。
江刺さんは『にんげんをかえせ』の峠三吉や『夏の花』の原民喜と並び称される原爆作家の大田洋子に対し、「正当な評価をされてこなかった」と精力的な取材を重ねてきた。日の当たらない分野に生涯をかけてきた江刺さんの生き方もひしひしと伝わってきた。
『言わなきゃいいのに……』
林真理子『言わなきゃいいのに……』(文藝春秋 1987)をパラパラと読んだ。
ちょうど直木賞を受賞した頃のエッセーで、締切に終われ海外からファクシミリで原稿を送信するドタバタなどのエピソードが紹介されている。
『食の精神病理』
大平健『食の精神病理』(光文社新書,2003)を少しだけ読む。
著者は東京大学医学部を卒業され、聖路加国際病院に勤務される精神科医である。『豊かさの精神病理』や『やさしさの精神病理』などの著作を出されているが、本作は二匹目、三匹目のドジョウを狙ったような作品で、何が言いたいのかよくわからなかった。