月別アーカイブ: 2010年9月

パンフレット研究:龍谷大学

龍谷大学のパンフレットを読む。
1639年の西本願寺境内におかれた学寮を源流とする。1922年に大学令により龍谷大学となる。1949年の新制大学令によって、4年制の文学部を開設する。以後、経済学部、経営学部、法学部が順次開設されている。さらに1989年には琵琶湖の近くに瀬田キャンパスが開学し、理工学部、社会学部、国際文化学部が設置されている。さらに、2011年には京都の深草キャンパスに政策学部が開設予定となっている。またニーズを捉えたのか、短期大学部に社会福祉学科に加え、2011年から子ども教育学科が新設される。文系から理系まで医農薬以外は一通り揃えましたといった陣容で、ちょうど東洋大学と似たような、学部学科の「総合デパート」といった趣だ。

東本願寺と西本願寺の教義上の相違点はよく分からないが、大谷大学と同様、文学部に仏教学部とは別に、真宗学科がおかれ、真宗教壇の教理や歴史、布教伝導などを専門的に学ぶことができる。大学院は真宗学専攻の修士・博士課程に加え、学内外での実習・研修を重視した3年課程の実践真宗学研究科がおかれている。
また、文学部の3・4年生が学ぶ京都駅徒歩圏内の大宮キャンパスは明治時代の瀟洒な建物が並び、写真で見る限り映画のセットのようで雰囲気満点である。一方で琵琶湖の辺の瀬田キャンパスは京都市内からも距離があり、実験施設が必要な理工学部以外の文系学部の学生にとっては魅力半減であろう。

大学自体が大きいためか、他大に比べ、あまり京都にこだわっている節がなく、東京のマンモス大学のコピーとなっている。

『バイオハザードⅢ:エクスティンクション』

テレビで放映された、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演『バイオハザードⅢ:エクスティンクション』(2007 米)を観る。
後半部で、エヴァンゲリオンの綾波レイのように、クローン人間の悲しみのようなものが描かれていて興味深かった。といっても全ての謎は次回作へ持ち越されており、起承転結の「転」にあたる部分で、恐怖のゾンビ映画から

パンフレット研究:京都文教大学

京都文教大学のパンフレットを読む。
全く聞いたことのない大学であったのだが、1996年に短大を改組して生まれた新しい大学である。大学の設立においては心理学者の河合隼雄氏や民俗学者の梅棹忠夫氏、文化人類学者の川喜田二郎氏などが関わったとのこと。臨床心理学部の臨床心理学科と人間学部の文化人類学科、現代社会学科の3学科で構成される。
しかし、どの学科も、専門科目も語学科目も全く体系化されておらず、ただ選択科目が並んでいるだけで、短大の2年間が薄く引き延ばされたような教育内容である。せいぜい、臨床心理学科の中に、ユング心理学コースが設置されているくらいが目に付く程度。

京都市内から少し離れた宇治市にあり、駅からスクールバスというあまり魅力のないキャンパスもマイナス材料。浄土教と関係があるようで、「KBUアイデンティティ科目」の中に「法然に学ぶ人間学」という授業があるが、何か学内ではタブーになっているのだろうか、浄土教については全くふれられていない。
推薦入試では、ニッチ狙いであろうか、軟式野球と女子サッカーを強化スポーツ種目に指定して受験生を集めている。しかし、パンフレットの写真を見る限り、きちんと活動しているようには見えない。
勉強をしたくない地元の高校生にはAO入試で簡単に入れるようなので、時間つぶしにはちょうどよいのであろう。

パンフレット研究:京都橘大学

1902年創設の京都女子手芸学校が前身であり、1967年橘女子大学として開学し、1988年京都橘女子大学に改称。2005年男女共学化に伴い現校名に改称した。

現在では日本語日本文学科、歴史学科、文化財学科を擁する文学部、児童教育学科と英語コミュニケーション学科を擁する人間発達学部、現代マネージメント学科と都市環境デザイン学科を擁する現代ビジネス学部、そして看護学部の4学部8学科16コースで構成される。

最近、少子化のため女子大を共学化し、学部学科を再構成し、新たな出発を切る大学が増えている。関東で言うと文京学院大学や武蔵野大学がそれにあたるが、 女子大の特徴であった丁寧な学生対応、幅広い選択、駅から比較的近くおしゃれな校舎が、近年の「ゆとり教育」世代に受けているのであろう。また、全学生数 が三千数百人ということで、女子大的な中規模大学のアットホームな雰囲気も好まれているようだ。
パンフレットを読む前は、京都橘大学もいわゆる「Fランク」大学かと思っていた。しかし、3分の1は推薦入試であるが、一般入試の受験倍率は4倍近くあり、全国47都道府県の全てから受験生が集まっている。

そこで、パンフレットを具に読んでみると、かなり工夫を凝らしていることがわかった。文学部日本文学科にはかなり力の入った書道コースが設置されていた り、アナウンス技術研究のゼミが置かれていたりする。また、歴史学科は、2年次に日本史コースと西洋史コースに分かれ、さらに3年次に女性史研究コースが 設けられている。また、歴史学科とは別に、京都ならではの文化財学科が置かれ、考古学コースと美術工芸史コースが設置されている。地の利を生かした特長的 な学科となっている。また看護学部と幼児教育コースがコラボしたり、児童教育コースと英語コミュニケーション学科を同じ学部に設置するなど、大学の規模を よく生かして、全学で有機的な教育体制を構築している。実際にはどうか分からないが、これまでに読んだ中規模(総学生数3000人程度)大学のパンフレッ トの中では一番練られていると思う。
また、キャンパスもJR山科駅から路線バスで15分と、割と通いやすい場所にある。下手に学部を増やしたり珍奇なプロジェクトに携わったりせず、学生教育に力を注げば、入試倍率3~4倍程度の人気は維持できるであろう。

パンフレット研究:大谷大学

真宗大谷派の大学であり、その起源は1665年開設の東本願寺学寮にまで遡る。1896年に真宗大学と改称し、1922年の大学令によって大学となった。京都の中心地にあり、市営地下鉄の北大路駅前にキャンパスが置かれている。
文学部の中に9学科設置され、仏教学科とは別に、東本願寺に所蔵されている親鸞の著書『教行信証』や『歎異抄』など、親鸞の思想や生き方を学ぶ真宗学科が 置かれているのが特徴である。その他、哲学科、社会学科、歴史学科、文学科、国際文化学科、人文情報学科、教育・心理学科が置かれている。しかし、どの学 科も凡庸で、小学校免許と幼稚園教諭の免許が取得できる教育・心理学科以外は受験生獲得に苦労しているようだ。

とりわけ、人文情報学科では、新入生全員に「iPad(アイパッド)」を配布し、情報処理技術や情報社会で必要なスキルを身につけるとのことだが、いかに も付け焼き刃的な発想で、4年後の学生の就職や進学に責任を果たしうるのだろうか。学科の教員を紹介を見ても、プログラミングや通信技術についての専門家 が2人しかおらず、他はチベット仏教の教授がWebアプリケーションを担当したり、仏教学のモンゴル研究の教授がマルチメディアを担当するなど専門学校以 下の陣容である。

また、1993年に開設された国際文化学科もひどい。語学の授業も徹底しておらず、カリキュラムに何の脈絡もない。就職の心配のないハイソなお嬢さんを相 手にした女子大ならばよいが、社会人向けの公開講座のような耳当たりのよい科目を並べただけの学科ではどうしようもない。
そもそも文学部の中にあらゆる学科を突っ込んで、「人間」という観点で括ってしまうのはいささか強引な気がする。しかし、これこそが一向宗の教えの顕れなのだろうか。
短期大学部には仏教科と幼児教育保育科が置かれている。2年間で幼稚園教諭免許と保育士資格の両方が取得できる保育科は関西でも人気が高く、倍率は2倍を越える。