松田忠徳『温泉教授の温泉ゼミナール』(光文社新書 2001)を読む。
「天然温泉」なる施設が温泉地のみならず日本全国で増殖している。特に近年税金を投入した公共の温泉が増えているのだが、しかし、その多くがザル法である「温泉法」の抜け道を利用した濾過・循環湯であるのだ。濾過・循環器を利用した温泉では消毒に塩素を大量に使わざるを得ず、入湯すればするほど健康を害してしまうという。果たして地元春日部温泉のお湯は大丈夫なのだろうか?
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『デパ地下仕掛人』
劔持香苗『デパ地下仕掛人』(光文社新書 2002)を読む。
雑誌やテレビで取り上げられることの多いプランタン銀座の地下のデザート売場のカリスマバイヤーと呼ばれる加園幸男氏の取材を通して、流行の半歩先を行く「プラ地下」の人気を探ろうとするものだ。ベルギーワッフルやエッグタルト、キャラメルのスイーツなどのデザートにもファッションと同じように、繰り返しの流行があり、加園氏によるとその周期は10年ということだ。
そもそもプランタン銀座自体がダイエー資本によって、銀座という立地条件の元で、20代のOLを顧客のターゲットとして絞りこみ、ヨーロピアンテイストを重んじることで成功したデパートである。しかしその時点で幅広い層に向けて多種多様な商品を並べる百貨店というカテゴリーから外れてしまっている。すでに楽天などのインターネットモールが市民権を得てしまった以上、デパートもそれぞれ立地条件の中で、セレクトショップのようにターゲットを絞っていかざるを得ないのであろう。かくなる上は商品の魅力や価格に訴求するよりも、「CRM」(Consumer Relationship Management)に重点を置かなくてはならない。これは商品の動きから顧客を予測し、そして顧客を維持、育成、獲得していこうとするものだ。「オムツを買う人は缶ビールをケース買いする傾向がある」という
今日は昼ご飯として春日部東口から徒歩10分くらいの大榎という式場の近くにあるコロッケ屋のメンチカツを食べた。作り立てだったせいもあるが、タマネギの甘さが口の中で溶け合ってものすごい旨かった。日常メンチカツというと安い定食のおかずのようなイメージが強くご飯と一緒に食べるが、出来立てのメンチカツにソースをかけてそのまま食すというのが通の食べ方なのだろう。
『ユング心理学入門』
山根はるみ『ユング心理学入門』(ごまブックス 1997)を読む。
学術的な用語はほとんど用いずに全くの素人にもユングの説を分かりやすく解説している。ユング自身がマンダラを描き、チベット仏教の曼荼羅と酷似しているのに驚いたという点が興味深かった。
『造形集団 海洋堂の発想』
宮脇修一『造形集団 海洋堂の発想』(光文社新書 2002)を読む。
海洋堂チョコエッグのおまけで一躍有名になった模型メーカーである。模型メーカーというと一般に下請けの零細企業や外部の職人と契約し、自社のブランドで販売するといったイメージが強い。しかしこの海洋堂はアメリカのピクサー社のように、それぞれの専門に対するプライドを持った芸術家を抱える工房である。
芸術家の集まりなので、経営戦略などは二の次で、こだわりの仕事を優先にする会社である。手塚治虫のマンガやエヴァンゲリオンなどの二次元のキャラクターを三次元のモデルにするだけの、結局は模倣にすぎない模型の世界であるが、単に二次元キャラの寸法や配色をそのまま造形として立体化しても本物の質感は出ない。本物以上に本物らしくするために、コンマ数ミリ単位の微調整が必要なのである。パソコンでほとんどが作られてしまうアニメやマンガの世界と、コンピュータで細かいディテールまで削り出してしまう模型の世界を橋渡しするためには熟練と勘が冴えた職人の技が求められるという点が面白かった。
『国益の立場から』
渡部昇一『国益の立場から』(徳間書店 1996)を読む。
「従軍慰安婦」記述の虚飾や、占領軍による「東京裁判」史観の強制、日韓併合は世界の合意など小学生もびっくりの意見を展開し、朝日新聞や当時の社会党には「コリア」や「シナ」の工作員が紛れ込んでおり、日本の世論や政策を本国に都合のいいように誘導していると、革マル系全学連顔負けの謀略論を展開する。当時の住専に対する官僚批判や中国の帝国主義的な軍事再編などに対する非難には一顧の余地もあるが、肝心の「国益」なるものの正体は見えてこなかった。