月別アーカイブ: 2022年6月

「プーチン氏 粛清の記憶消す」

本日の東京新聞朝刊に、ロシア・プーチン大統領がロシア国内でも否定されているはずのスターリン政治の再評価を進めているとの記事が掲載されていた。世界史の範囲になるが、ヨシフ・スターリンは、1924年にレーニンが亡くなってから30年近くソビエト社会主義共和国連邦の代表を務めた人物である。一国社会主義論を展開し、万国の労働者のための国づくりではなく、自分たちの懐を潤すだけの独裁体制を作り、反対派を徹底して粛清した人物としても知られている。粛清された人は、1,000万人とも3,000万人とも言われる。

どこかのクラスで話したが、政治や民族、経済的に国内が分断され始めると、政権側は自分たちにとって都合のよい国家統合装置をつくり出す。それは王室や皇室だけでなく、国民栄誉賞を貰うようなスポーツ選手や芸能人かもしれない。いずれも政治的な溝や民族的な齟齬、経済的な格差を覆い隠すようなパフォーマンスが繰り広げられる。

スターリンの死から3年後の1956年に、フルシチョフソ連共産党第一書記長によって、行き過ぎたスターリン個人崇拝が、誤った独裁政権や大量殺人を行った政権を生み出すことになったと批判されている。

「トレーラーから50遺体発見

本日の東京新聞朝刊に、米南西部のテキサス州の校外で乗り捨てられたトレーラーからヒスパニック系の移民50人の遺体が見つかったとの衝撃的なニュースが報じられていた。

50人の内訳で判明している人の国籍は、メキシコが22人、グアテマラが7人、ホンジュラスが2人だという。このうちホンジュラスは人口1000万人近い国だが、資源に乏しく、コーヒーやバナナ、パーム油などの熱帯商品作物しか輸出できないため、一人当たりのGNIは2,180米ドルとなっている。近年の物価高や失業率の増加、米ドル高を考慮すると、数字から見えてくるもの以上に経済が混乱していることが想定できる。

地理の公式ということで、移民や難民は一人当たりのGNIが低い国から高い国へと移動していく。米国の1人あたりのGDPが69,221ドルであることを考えれば、コロナや物価高、独裁政権で混乱している中南米諸国から米国への流れは止めようがない。

また、授業中に何度も触れているが、中南米はブラジルや一部の国を除いてスペイン語が話されているので、国を超えた移動が楽である。但し、メキシコと米国の間の国境警備は厳しくなっており、バイデン政権になってからも排外主義の流れは変わっていない。

今後の授業の中でも、一人当たりのGNIを確認しながら、移民や難民について考察する機会を増やしていきたい。

『新しい英文作成法』

天満美智子『新しい英文作成法』(岩波ジュニア新書 1998)を少しだけ読む。
執筆当時は津田塾大学の学長を務めていた方なので、本人が全部書いたのか、本人監修のもとで誰かが書いたのかは断定できないが、「新しい」と題したほどの内容ではなかった。

『キャンプ・合宿・ハイキング』

小林康彦『キャンプ・合宿・ハイキング:自然教室のしおり』(岩波ジュニア新書 1985)をパラパラと読む。
今話題のキャンプのイロハや地形図の見方、ハイキングでの歩き方など、著者の経験則が著者の言葉で直に語られる。どの項も体系的ではないが、イラスト入りで分かりやすい。

「ロシアの飛び地 新たな火種」

本日の東京新聞朝刊にカリーニングラード州の話が出ていた。旧ソ連の崩壊とともに誕生したロシアのEU内の飛び地であり、面積は1万5000平方キロメートル、人口は95万人の小さな州である。気候区分はギリギリ西岸海洋性気候であり、1月の平均気温が-3度を下回っている年もあり、測定地点によっては亜寒帯湿潤気候に位置することもあろう。

めったに出てこない地名であり、改めて地図帳で確認してみるのもよいであろう。きな臭くなっているバルト海に面しており、EUにとっては喉に刺さった魚の骨のようなイライラさせる存在である。