月別アーカイブ: 2009年8月

パンフレット研究:高千穂大学

高千穂大学のパンフレットを読む。
1914年に川田鉄也が創設した高千穂高等商業学校が起源で、1955年に「常に半歩先立つ進歩性」という学風の指針を掲げて新制大学に移行し、高千穂商科大学として開学し、商学部が置かれた。2001年に現校名に改称し、経営学部が設置され、2007年に人間科学部が新たに設置されている。
伝統ある学校で、戦前はエリート養成学校であったが、戦後の学校経営に混乱を来し、付属の小中高校が相次いで閉校に追い込まれている。井の頭線の西永福駅から徒歩7分という好立地にあるのだが、「いまいちぱっとしない学校」に落ち着いてしまっている。パンフレットを読む限り、スポーツに力を入れるわけでなく、教育課程に工夫があるわけでなく、少人数教育による面倒見の良さをアピールするだけである。
経営学部、商学部の二学部が設置されているため、商業高校出身者が多いのが特徴である。商業高校出身者のさらに学びたいという需要には応えている。

『中陰の花』

第125回芥川賞受賞作、玄侑宗久『中陰の花』(文春文庫 2005)を読む。
臨済宗の現役の僧侶である作者が、小説に託して宗教そのものの意義を問い直す。
この世とあの世の間にある「中陰」で、人は生老病死の悩みから「ほどけ」て、魂は微塵となり成仏するという。最近の宗教関係者は死についての発言を避ける傾向にあるが、死の仕組みを考え納得することで、生きることにも積極的になれる。亡くなったおがみやのウメさん、亡くなった水子を信心から供養することで、周囲の人たちのより深く生きようとする姿を描く。印象に残る作品である。
表題作の他、乳児を遺棄した母親の隠遁生活を描く『朝顔の音』も印象的であった。

福井へドライブ

夏の仕事が一段落ついたので、家族に「赦し」をもらい、3日間の単身ドライブ旅行に出かけた。走行距離は1300キロにおよび、全行程72時間のうち、30数時間ハンドルを握るという苦行に近い旅であった。

2009.08.26 21:00
子どもをお風呂に入れ、妻が寝かしつけを終えたのを確認してから自宅を出る。「とりあえず」福井を目指して出発!!
ETCを持っていないので高速乗るのはもったいないと、ひたすら一般道を繋いでいく。春日部より菖蒲から国道122号に乗り、国道125号から行田で国道17号バイパスに乗る。先週国道17号で真っ直ぐ水上の方まで出かけていたので、少し別の道を行こうと、国道140号を南下し、ひたすら飛ばして長瀞まで行く。そして県道37号線に乗り換え、小鹿野高校の辺りから国道299号線に移る。
すでに車に乗って2時間以上経ち、疲れが出てくる。そこで音楽をガンガンに流しながら、山奥をうねっていく一車線の国道299号線を走っていった。途中十石峠で霧が出てきたが、ここで休んでも仕方ないと先を急いだ。長野県佐久市に至って眠気がひどくなり、国道141号線沿いのコンビニの駐車場で夜を明かした。

2009.08.27 07:00
狭い車のシートで蹲って寝たため、体全体が固まってしまったようだ。コンビニのスパゲッティで腹ごしらえ。早速福井を目指してエンジンキーを回す。
国道141号線を北上。出発前に北陸の地図を購入したのだが、この辺りは関東の地図と北陸の地図のちょうど狭間にあり、どちらも20万分の1縮尺の地図しか掲載されていない。仕方なく国道のみを行くことにする。141号から国道254号に入る。この254号は群馬、埼玉を抜けて池袋まで繋がる道である。妙に感慨深い。
有料の三才山トンネルを抜けて松本市に入る。信州大学の脇を通る国道143号線から国道158号線に乗る。上高地へ向かうバスについて行きながら、どんどん北アルプスを登っていく。安房トンネルを抜け岐阜県に入る。平湯にあるすっぽんの養殖センターで、すっぽん粉末の入った栄養ドリンクを飲む。

11:00
平湯から国道471号線に乗り換え、神岡まですっとばす。この辺りは学生時代にタクシーで走ったことがあり、昔を思い出しながらアスファルト上の白線を追っていく。小柴教授の作った「カミオカンデ」で有名になった神岡のドライブインで肉そばとライスをかき込む。
国道41号線に乗り、飛騨で国道471号線、そして国道360号線に乗って白川郷へと辿り着く。あまり車を降りたくはなかったが、せっかくの世界遺産ということで界隈をぐるっと回る。白川郷は集落全体が茅葺きであり、そこで生活している住民の生活感が感じられて良かった。

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15:00
散策を終え地図をじっくりと眺めたところ、白川郷周辺は飛騨山地と両白山地に囲まれており、西へと抜けていく国道がないことに気付く。仕方なく有料の白山スーパー林道を行く。30キロ以上の林道であり、疲れのため不承不承料金所を抜けていった。しかし、高度1300メートル近くの絶景が広がり、退屈することなく一気に抜け、国道157号線を経て、福井県勝山市に至る。国道416号線を西へ向かい、あと少しと気が抜け始める。

17:15
福井まであと少しというところで、永平寺の看板が視界に入る。既に5時を回っていたが、まだ明るかったので少し立ち寄ってみることにした。国道416号線から354号線を曲がって10キロ弱の山奥に永平寺は鎮座する。中に入ることはできなかったが、誰もいない虫の声だけが響く閑寂な佇まいを味わう。

19:00
福井駅周辺のビジネスホテルで一泊。久しぶりの歓楽街で焼き鳥とビール二杯を堪能する。

2009.08.28 08:00
朝風呂で疲れを癒してから、今回の旅行の目的である丸岡町図書館を目指す。

東尋坊

日本海

敦賀

琵琶湖

名古屋

浜名湖

東名高速

『リアルおにごっこ』

山田悠介『リアルおにごっこ』(文芸社 2001)を読む。
「佐藤」という名字を持つ500万人の国民を、7日間にわたる鬼ごっこで全滅させるという荒唐無稽な話である。執筆当時二十歳前後の作家のデビュー作であり、文章も展開も荒削りな作品となっている。しかし、7日間で「佐藤」姓を全滅させる鬼ごっこに、兄弟愛やら親子愛、友情などてんこ盛りな展開で、文章のミスやら無理な舞台設定をすっ飛ばすほどの勢いがある。
読書好きな女子小学生や中学生が手に取るのにちょうどよい作品であろう。

『サブウェイ123激突』

映画の試写会の招待券が当たったので、仕事が終わって慌ただしく新橋にあるヤクルトホールへ出かけた。
トニースコット監督、デンゼルワシントン・ジョン・トラボルタ主演『サブウェイ123激突』(2009 米)を観た。
「アメリカンテイストな炭酸飲料とジャンクフード」の映画とでも評せばよいだろうか。

帰りに、平日夜の新橋駅界隈を漫歩してみた。
「サラリーマンの街」とテレビで流されるように、飲み屋やらパチンコ、風俗、ビデオボックスが雑然と散りばめられた、「おじさん臭さ」が漂う街であった。