月別アーカイブ: 2005年11月

現場実習

一昨日より社事大の社会福祉士養成課程の通信教育の現場実習が始まった。千葉にある知的障害者更生施設で、利用者の方々と直接触れ合いながら勉強している。電車を乗り継いで片道2時間かかってしまい、それだけでもへばってしまうが、多くのものを経験主義的に吸収したい。


現場実習計画書 実習施設名 我孫子市立あらき園

日本社会事業大学通信教育科
社会福祉士養成課程

現場実習計画書 現場実習のテーマと課題
 私自身、近い将来に、養護学校高等部で勤務するにあたって、生徒の一生涯にわたる支援を見通した進路指導の充実を図っていきたいという夢を持っています。 教育機関と福祉機関の縦割り行政の中で、「個別の教育支援計画」をいかにして効率の良い充実したものにしていけるのか、その可能性を探る実習にしていきたいと考えています。

  1. 生活支援施設としての視点を持った施設のあり方、職員の動向の理解
  2. 利用者個々のニーズに応じた支援サービスの実態把握
  3. 個別支援計画の作成とその活用の把握
  4. 利用者の自立支援の実情とそのサポート体制の理解

課題・テーマへの具体的取り組み方法

  1. →陶芸室や木工室など施設を見学し、日課における職員の動きや配置について学びたい。施設等で働く職員の勤務状況やスーパーバイザー制度についても機会があれば学んでみたい。また、利用者サイドに立って、障害者手帳や療育手帳、支援費制度など金銭面、税制面での負担や軽減の制度について把握したい。
  2. →一日の流れを通し、個々の利用者の生活支援の様子を学びたい。
    特に陶芸や木工、農芸などの諸活動がどのような形で社会生活への適応と繋がっていくのか、という点を意識して利用者と共に体験してみたい。また、個別運動において、個々の利用者本人の身体諸機能の実態とその支援の方針について指導を仰ぎたい。利用者と一緒にストレッチや歩行、作業をする中で、持ち味の体力を活かして積極的にコミュニケーションを図っていきたい。
  3. →養護学校で作成された「個別の移行支援計画」の活用のされ方について理解を深めたい。
    養護学校と施設の連携に向けて取り組みが始まった「個別支援計画」の書類が、どのような形で保管され、どのように活用されているのか、現場の動きを把握したい。また、実際に施設において利用者を受け入れるにあたっての事務手続きや相談事項の概略を学びたい。
  4. →利用者の社会的自立、地域での自立の様子について個々の話を伺いたい。
    利用者の退園後の自立や家庭での支援の様子、市における地域での福祉サービスの実態を理解したい。また、利用者の高齢化によって生じる様々な問題についての相談体制について、実態を把握したい。
    地域との交流や、清掃活動、ボランティア活動、啓発活動を体験してみたい。

本日の東京新聞

本日の東京新聞のスポーツ欄の中で、元横綱・千代の富士のコラムに次の文章が載っていた。

朝青龍は、千秋楽も危なげなく勝って、年間最多勝記録を84に伸ばした。1年間で負けたのが、たったの6番。この記録はおそらくこれからも破られることはあるまい。私も年間最多勝をとっているが、確か80勝だったと記憶している。いまと状況が違い、周囲の横綱、大関は強者ばかり。苦労に苦労を重ねての記録だっただけに、すごくうれしかったことを覚えている。それより4勝も多い記録には完全に脱帽だ。周囲を見渡しても、敵らしい敵は見あたらない。強いてあげれば、これから力をつけてきそうな琴欧州ぐらい。

どう読んでも、強者の少ない中で連勝を重ねる朝青龍よりも、ライバルがひしめき合う中で最多勝を獲得した私(千代の富士)の方が記録としては素晴らしいのだということをアピールしているとしか読み取れない。編集サイドでもう少し文章を整理することができなかったのだろうか。

『アダルトな人びと』

足立倫行『アダルトな人びと』(講談社 1992)を読む。
1990〜1991年当時、レンタルアダルトビデオ全盛時代に活躍した、ダイヤモンド映像の村西とおる監督やアテネ映像の代々木忠監督、「V&Rプランニング」のバクシーシ山下監督に対して、男性の自慰行為のネタ以上のアダルトビデオを撮ることの意義を質している。著者はエロスというものが理性や世間体の逆にあるものではなく、実はすぐ裏に潜んでいるものだと述べる。つまりエロスを映像化するということは、われわれ現代人がいかに理性という薄い仮面で生活しているのかということの証左ともなる。
この中で今でも活躍しているのは「V&Rプランニング」の代々木忠監督だけである。代々木監督の作品の中に、女性二人が男性の肛門を執拗に攻め、男性を前後不覚のオーガズムに導いたビデオがあるらしい。その映像を撮影した際、監督は次のコメントを筆者に語っている。

代々木によれば、池田(男優)のオーガズムは過渡的なものだと言う。なぜなら絶頂の瞬間に、勃起も射精もしていないからだ。池田の中で、自意識を捨てたいという気持ちと、そこまでしたくない気持ちのせめぎ合いがまだある、と。男のオーガズムの段階にもいろいろあるが、「本当はエゴイズムを捨て切れれば、男の場合、勃起、射精を伴った至福の境地に至る」と代々木は信じていた。”性のエゴイズム”代々木の、AVを舞台にした実験はまだまだ続くのである。

〈老人福祉論〉

 介護保険制度は,これまでの高齢者福祉サービスと高齢者保健,医療,福祉サービスを再編成し,負担と給付が明確になる社会保険方式により,少子化によって家族介護が困難になっている中,社会全体で介護問題を担う制度を創設し,総合的な介護サービスを利用者の選択によって利用できるようにしようとするものである。また,介護保険法においては要介護状態になった者が「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」必要な介護サービスを提供することを目的としてあげている。

 介護保険自体の実施主体は市町村であり,寝たきりや認知症などの「要介護者」状態,または介護が必要となるおそれがあり日常生活全般のサポートが必要な「要支援者」状態の65歳以上の被保険者に対して保険給付がなされる。また,筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病のような特定疾病のある40歳以上の被保険者にも給付がなされる。その場合要介護状態にあるかどうか,その介護の必要の度合いを確認するために,被保険者は市町村において要介護認定の申請を行なう。そこで軽度の要支援状態から,重度の要介護状態の6段階に分類される。

 次にサービスの利用にあたって,サービスを計画的・効果的に提供していく仕組みとして,指定居宅介護支援事業者に配置されている介護支援専門員による介護サービス計画(ケアプラン)が策定され,利用者のサービスの選択と利用を支援することとなる。その際,介護支援専門員は計画を策定するにあたって要介護者の心身の状況や日常生活動作,家族の状態を分析しながら,多様なサービス計画を提供することとなっている。

 介護サービスは,大きく訪問介護やデイケア,ショートステイなどの在宅介護と,老人施設や老人性認知症疾患療養病棟などの施設サービスに分けられる。しかし,近年の地域での自立生活支援推進の流れを受け,在宅での介護サービスの充実が図られている。

 いずれのサービスを利用するにあたっても,費用の1割の利用者負担が決められている。そして,その財源は,40歳以上の国民が支払う介護保険と国や都道府県,市町村の公費負担で成り立っている。しかし,少子高齢化によるアンバランスな人口構成により,財源の確保は難しく,若年層に負担のしわ寄せが来ている。また,利用者の自立が向上したにも関わらず,要介護状態の度合いが固定化され,保険給付額の不必要な増加も指摘されている。

 今後益々民間企業の競争による介護サービスの多様化が臨まれるのは間違いない。しかし,安易な企業任せの介護認定がまかり通っては介護保険制度そのものがパンクしてしまう。団塊世代が65歳になる今後を鑑み,介護支援専門員を大幅に増やすとともに,厳正な認定を行なえるような人材の育成が求められる。

〈地域福祉論〉

 地域福祉法第4条は「福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み,社会・経済・文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように,地域福祉の推進に努めなければならない」と定めている。つまり,障害がある人も地域社会において障害のない人と同様に生活ができるノーマルな社会に向かって,要支援者を一人のトータルな生活者としてとらえる視点を持って,要支援者に対する様々な関わりを統合化していくことである。そして,そのような環境を作っていくにあたって,行政や福祉団体だけでなく,地域社会に暮らす住民の主体的な参加が可能な土壌が求められている。つまり,単に障害者の理解や思いやりを教育や地域で育むのみならず,国民一人一人が基本的人権を尊重し,日本国憲法に定める平等権や幸福追求権の主旨を理解し,傍観者的な態度ではなく,行動する力の育成が求められるということだ。

 地域においては,これまでの山奥の入所施設に閉じこめておくような「効率的」な福祉サービスではなく,今まで住んでいた地域で,できるだけ在宅を基本としたサービスが求められる。2005年に衆院で可決をみた障害者自立支援法案の第1条は「この法律は、障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とすること」と定められている。

 学校教育においては,文科省と厚労省の壁が反映してか,「福祉」という言葉は意識的に使われていない。福祉ではなく,「道徳」という言葉が通常用いられる。1998年に文科省が告示した学習指導要領では,道徳教育について「道徳教育は教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に活かし」,「家庭や地域社会との連携を図りながら,ボランティア活動や自然体験活動などの豊かな体験を通して生徒の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない」と述べられている。そして,現行の学習指導要領では,教育課程の編成において,「盲学校,聾学校,および養護学校との連携や交流を図るとともに,障害のある児童生徒や高齢者などとの交流の機会を設けること」と定められている。

 求められる福祉教育とは,知識として障害者や高齢者の姿を理解することではない。障害者や高齢者と健常者が共に文化的で健康的な生活を営むことができるような社会を作っていける「道徳性」を養うことである。

 参考文献
 一番ヶ瀬康子監修『教科書社会福祉』一橋出版,1997年