以下、図書館報に載せる原稿
読書は生活・仕事の一部
「地理学と哲学は諸科学の母」という言葉があります。古代ギリシャでは人間や神の存在に迫る学問として「哲学」が発達し、地球の大きさや星の動き、土壌や生物を調べるために「地理学」が生まれたという由来です。そして、「哲学」から文学や宗教学、心理学へと分化し、「地理学」から数学や物理学、生物学の学問へと発展したということです。そんな地理の授業を受け持つには読書が欠かせません。
私が二十年近く実践している健康法に半身浴があります。三十分以上、下半身だけお湯に浸かり続けるというものです。私はこのお風呂の時間を必ず読書に充てています。斜め読みで年間二〇〇冊近く読んでいますが、中にはマニアックな本もあります。ここ最近読んだ本で、魅力ある本を三冊紹介したい。
一冊目は、未来開拓者共働会議編『まるごと楽しむひつじ百科』(です。タイトルこそ平易ですが、羊の種類や繁殖方法、毛刈りの手順まで詳しく解説されている。特に羊の毛刈りは、柔道の固め技の解説のように、羊の押さえ方までイラスト入りで紹介されているので、畜産農家を目指す人にお勧めです。
二冊目は、金田康正『πの話』です。最初から最後まで円周率の桁の話が続くのだが、著者は数学者ではなく、コンピュータの性能をテストするベンチマークのプログラマーである。スーパーコンピュータで十億桁まで計算しており、。小数点以下386,980,412桁目から6が十個連続並ぶとか、「123456789」と並ぶ箇所が二ヶ所、「987654321」が一ヶ所あるなどのトリビアが紹介され、数字マニアにはたまらない。
最後に紹介するのは、木下慎次『消防車が好きになる本』です。消防車というのは、実は各消防署ごとに完全オーダーメイドで製作されるものであり、消防署の数だけ車両のバリエーションがあるといって過言ではない。ポンプやハシゴの形状などを見分ける非常に細かいチェックポイントが、カタログ好きの心をくすぐる。