安河内哲也『できる人の勉強法―短時間で成果をあげる』(中経出版 2006)を読む。
東進ハイスクールのCMでお馴染みの英語講師安河内氏の、高校生・浪人生向けの受験勉強法が分かりやすくまとめられている。大変読みやすい文体で、著者の個人的体験を交えつつ、「音読、健康、能率、興味、目標」を意識して勉強を楽しく続けるコツや、効果的な暗記法などを語る。
英語学や認知心理学などの専門的な立場からではなく、20年に及ぶ予備校講師の経験則から熱弁するので、説明内容以上に青年期に帰ったようなわくわくする気持ちになった。実際に講義を受けていれば、著者の語り口まで伝わってくるのであろうが、本だけでも十分な刺激となった。
月別アーカイブ: 2015年11月
『バイクで越えた1000峠』
加曽利隆『バイクで越えた1000峠』(小学館文庫 1998)を少し読む。
以下、公式ホームページ(カソリング 生涯旅人、賀曽利隆の旅日記:http://kasoring.com/profile)より転載
賀曽利隆
プロフィール
1947年東京生まれ。
1968年から69年にかけのバイクでの「アフリカ大陸一周」が旅人人生のスタート。
その後、バイクやヒッチハイクにより、「世界一周(71〜72年)」「六大陸周遊(73〜74年)」と立て続けに世界を巡る。
1975年に結婚するが、旅への意欲は衰えることはなく、赤ちゃんを連れてのシベリア横断アフリカへの旅、冒険家風間深志氏とバイクでのキリマンジャロ登頂への挑戦、サハラに魅せられて、パリ〜ダカール・ラリーにまで参戦した。
一方、30歳を越えて初めて日本を一周。その後各年代での日本一周がライフワークとなっている。
さらに、サハリン、インドシナ半島、韓国、中国と日本人がバイクで踏み込むことができなかったとろこへ果敢に挑む、まだ見ぬ地への思いは人一倍、地球上を自らの軌跡で塗りつぶし続ける。
60歳代にして挑んだ、国内300日3000湯ツーリングは、1日10湯ペースでの温泉巡りでの日本一周、見事成功し、ギネスの認定を受けた。年1回のペースで続く、海外ツアーを手がける道祖神での「賀曽利と走ろうシリーズ」の秘境ツーリングも継続中で、旅への意欲はますます盛ん。
アウトドア誌やバイク・ツーリング誌で連載された「秘湯めぐりの峠越え」という企画が一冊の本になったのだが、雑誌連載当時にはあったであろうバイクや温泉の写真やイラストがほぼカットされており、「R○○号を左折して、××峠を越えて、○○橋を右折して…」といった活字だけの行程の説明が延々と続くだけである。編集側の事情もあるのだろうが、文庫化するのは無理があったと言わざるを得ない。せっかく地図を片手に読み始めたのだが、辛くなってページを閉じてしまった。
加曽利氏の魅力はあの人懐っこい笑顔の写真があってこそである。
深谷駅
『約束された場所で』
村上春樹『約束された場所で』(文藝春秋 1998)を少しだけ読む。
本日の朝刊で一連のオウム真理教事件の裁判の記事が載っていたので、本棚の奥から引っ張り出してみた。
10名弱のオウム真理教の信者への長時間にわたるインタビューと、河合隼雄氏との対談で構成されている。
パラパラと読んでみて、やはりオウム真理教事件はインターネットが普及する前の事件だと思わざるを得ない。現在の生活や人生、人間関係に違和感や不満があるから、その受け皿として新興宗教に走ってしまうのだが、そうしたストレスやフラストレーションの受け皿の一部はネットの掲示板やSNSが代替していると言って良いだろう。リアルな生活の不安や不満の全てがネット上のコンテンツで解消されるとは思わないが、半分くらいはネットでの心を許せる出会いや会話で有耶無耶になっているのではないだろうか。
読み進めながら、「何を今更」「ネットでやってよ」というような失礼な感想しか出てこなかった。そういう感想しか出てこない20年後の現在の方がより危険なのかもしれないが。
また、10名弱の人の感想からオウム真理教の全体像に迫るという点について、村上氏は次のように述べる。五木寛之氏もかつて米国内の黒人の生活状況について、同じようなことを述べていた。
例えばさびしい人気のない夜道で棒を持った変な男にすれ違うとします。実際には162センチくらいのやせた貧相な男で、持っている棒もすりこぎくらいのものだったとします。それがファクトです。でもすれ違ったときの実感からすると、相手は180センチくらいの大男に見えたんじゃないかと僕は思うんです。手に持っていたのも金属バットみたいに見えたかもしれない。だから心臓がどきどきする。それでどっちが真実かというと、あとのほうじゃないかと思うんです。本当は両方の真実を並列しなくちゃならないんでしょうが、どちらかひとつしか取れないとなったら、僕はあくまで断り月ですが、ファクトよりは真実を取りたいですね。世界というのはそれぞれの目に映ったもののことではないかと。そういうものをたくさん集めて、総合していくことによって見えてくる真実もあるのではないかと。
『メディアで欲情する本』
落合Q太郎、藤井良樹他『メディアで欲情する本(別冊宝島 196)—ニッポンは電脳エッチの実験場だ!』(宝島社 1994)をパラパラと読む。
随分昔に買った本である。先日別冊宝島編集部に触れたので、おもむろに本棚の奥から取り出してみた。
インターネットやケータイが普及する前の、当時の最新エロ事情が紹介されている。アダルトCD−ROMやモザイクが外せる仕掛けのある無修正画像、パソコン通信からのダウンロード、ダイヤルQ2、AV情報誌、飯島愛、『ジョアンナの愛し方』、女子高生「ポケベルクラブ」など、今となっては懐かしいというか、具体的に思い浮かべることも難しくなった用語が並ぶ。山本晋也監督が監修したというアダルトLD−ROM「エンジェルメイト」にいたっては世界遺産ものであろう。
VHSビデオとβビデオの勝負もアダルトビデオの有無が大きな要因となったと巷間言われるが、現在でもSNSやHD動画配信に見られるように、男の欲情はいつの世も最新技術の牽引役なのである。
今やラジオでも活躍されている藤木TDCの名前が輝かしかった。