月別アーカイブ: 2022年9月

Twitter投稿より。インドの総人口の8割を占めるヒンドゥー教の理解の一助である。インドはベジタリアンが多いので動物性タンパク質を補うために、1970年代から生乳の生産量・消費量が拡大し、現在ではインドの牛の飼育頭数はブラジルに次いで多く、1億8900万頭もいる。そのため、牛乳の生産量はアメリカ合衆国に次いで世界2位、そしてバターの生産量は世界最大となっていり。また、インドでは、水牛からも搾乳をする。インドの水牛の飼育頭数は1億940万頭。これは世界最大で、水牛は搾乳できなくなると、食肉として解体される。

また、ヒンドゥー教徒が人口の8割を数えるが、イスラム教徒は人口の14%を占めている。インドネシアに次ぐ世界第2位の1億8000万人のイスラム教徒を抱えている。キリスト教徒を含め、2億人以上が牛肉を日常的に食べている。ブラジルの人口とほぼ同じであり、インドの牛肉市場は極めて規模が大きいということは、共通テストで狙われるところである。

『海と人間』

佐々木忠義編『海と人間:ジュニアのための海洋学』(岩波ジュニア新書 1981)を読む。
著者は海洋物理学の専門家で、東京水産大学(現東京海洋大学)の学長も務めた人物である。海の様々な定義や特徴に始まり、海の生物や海底資源、プレートテクトニクスまで、中高生に分かりやすく海洋学の基本がまとめられている。大変バランスの良い編集となっている。
勉強になった点を書き出しておきたい。

世界の海の深さの平均値は、およそ3800メートルで、陸の高さの平均値は840メートルである。
海中では深さが10メートルますごとに水圧はおよそ1気圧ずつ高くなる。したがって、1万メートルの深さでの水圧は、およそ1000気圧にもなる。つまり、深さ1万メートルの深海では、海底の1平方センチメートルの上にのしかかっている海水の重さは、およそ1トンもある。

7月を見ると、(中略)北緯30度線では、気温、表層水のおんどにはほとんど差がなくなり、それより北緯50度線までは、気温が1度ばかり水温より高くなっている。(中略)
一年にわたってながめると、日本に近い太平洋の北西部の海では、5月にはじまって8月までの間は気温が海水温度より1.0度ほど高く、9、10、11は海水に比べて気温が低くないr、1月に最低になって、その状態が4月までつづいている。海洋の気温が水の温度を超える期間は短く、またそのこえ方は小さい。秋から翌春までの1年の3分の2の期間は、反対に気温の方が7.0度も低くなる。

海洋気候の特徴は、海の影響を受けて、気温の変化が小さいこと、雨が多いこと、である。
大陸気候は反対に、気温の変化が大きいことと、雨がすくなく、乾燥ぎみであることが特徴で、海から遠い大陸内部では、この傾向がいちじるしい。大陸の表面をおおっている土や岩石は、水よりも暖まりやすく冷めやすい。1立法センチの土・岩石と水を1カロリーの熱で暖めたとすれば、水の温度は1度高くなるが、土や岩石は、その種類によってすこしちがうが、2度くらい高くなる。

海洋気候では、大陸気候にくらべて最高気温があらわれる月がおくれることが多い。海がなかなか暖まらないことがきいているのである。タシケントとモスクワでは、7月の気温がもっとも高いが、海に近いほかの都市では、1ヶ月から2ヶ月おくれた8月か9月の気温がもっとも高くなっている。

この冷たい乾燥した空気が、日本海の上を通るとき、海面から水蒸気を吸い上げる。水蒸気は雪となって裏日本に降りつもる。風が日本海を横切る時間が長ければ長いほどたっぷりと水蒸気を吸い上げるから、そして風は北西から南東に向かって吹くから、秋田県、新潟県、福井県のあたりで雪が多くなる。
北海道の、とくに北部で雪が案外すくない理由の一つもこれで、風はシベリア大陸をはなれると、水蒸気を吸い上げる時間もなく、すぐに北海道に届いてしまう。

北日本の魚の南限は、太平洋側では千葉県犬吠埼あたりで、サケ、ニシンなど寒海の魚はここまで南下できる。ここがまた、熱帯性や亜熱帯性の魚の分布の北限になっている。

海底には2億年より古い岩石はない。(中略)海の底が広がっていく速度もわかっている。東太平洋海嶺から日本列島までの距離は、約1万4000キロメートルである。ところで大洋底には2億年より古い岩石はない。たいへん荒っぽい仮定だけれど、海底が東太平洋海嶺でつくられてから次第に拡大し、ついには日本の下に潜り込むまでに2億年かかったとしよう。
つまり、1万4000キロメートルの距離を2億年かかったとすると、その速さは1年あたり7センチメートルということになる。じつはこの値は、そう不正確な値ではない。

 

「大雨土砂崩れ 盛り土起点か」

本日の東京新聞夕刊に、昨夜の台風15号による大雨被害で、静岡県浜松市で発生した大規模な土砂崩れの模様が報じられていた。2014年の8.20広島県土砂災害以降、大規模な土砂災害をもたらす「線状降水帯」が注目されている。

山がちな日本では、ある程度防ぎようのない災害である。幸い、2013年以降、確度の高い大雨特別警報が発令されるようになり、ハザードマップを頼りに安全な避難場所へ移動することができるようになった。

「イラン 広がる抗議デモ」

本日の東京新聞朝刊に、イラン・テヘランで「ヒジャブ」の着用を巡って警察に拘束された女性が死亡した事件の続報が掲載されていた。イスラム教では地域や気候によって大きく異にするが、戒律によって女性は髪や身体を隠すように決められている。

この記事の背景には2つの問題が指摘される。1つは死亡したマフサ・アミニさんがクルド人だということだ。クルド人は一般的に「国を持たない最大の民族」と呼ばれ、トルコ、シリア、イラク、イランにまたがって生活している。イランの人口8400万人の中で、クルド人は600〜800万人程度であり、人口の1割近くを占めている。また、言語はイラン語に近いクルド語で、宗教はイスラム教・スンニ派が多い。記事を読む限りでは言語も宗教も触れられていないが、意思疎通がうまくいかなかったことが推測される。

2つ目はバイデン大統領の発言である。1979年のイラン革命後、米国とイランは敵対関係にある。米国に対抗するため、イランは核開発を含めた防衛力強化に乗り出す、他方で米国はイランに対し、周辺のサウジやカタール、UAEなどの親米国と協力して経済封鎖を行うなどの悪循環が続いている。そうした中で民主党のバイデン大統領は表現の自由や民主主義を守るというお題目で反政府活動を支援している。

「アフリカ投資が熱い!」

本日の東京新聞朝刊に、人口14億人を抱え、これからも人口が増えていくアフリカ市場に世界中が注目しているとの記事が掲載されていた。アフリカは多産を奨励するイスラム教国も多く、エジプトやナイジェリア、タンザニア、コンゴ民主共和国などで高い出生率が続いている。2020年の統計ではエチオピアの人口が1億1400万人、エジプトの人口が1億200万人、コンゴ民主共和国が8900万人となっている。世界人口第11位の日本が抜かれるのはこの数年か。

地理の授業でも、アフリカの安全な水の確保や栄養不足、経済基盤の遅れなどを扱っていくが、未来志向的な明るい話と現状の悲惨な状況の2つの側面を意識したいと思う。記事にもある通り、確かに投資の対象としては魅力あふれる大陸である。一方、西アフリカを中心に、テロや飢饉、伝染病などでバタバタと子供が亡くなっていく現実もある。授業担当者として、その両面のバランスに注意したい。