月別アーカイブ: 2007年5月

今年度の手帳

一年も半分を過ぎてから、今年度の手帳を買い直した。ここ3年ほど、2穴リフィルや、A5サイズの6穴リフィルのシステム手帳を使っていたが、高校に移ってからはどうも使い勝手が悪いと感じていた。日常デスクワークが主体で、常に目の前にメモ帳やファイルがあるにも関わらず、分厚いシステム手帳を開くのはあまり非効率であり、だいいち億劫である。特に4月以降は義理で色々と書き込んでいたが、正直携帯電話のカレンダー機能の方が使い勝手がよく、無用の長物と成り果てていた。
ということで、数年前に使っていた「超」整理手帳に戻ることになった。運よく1冊だけアマゾンに在庫があったのですぐに「ポチッ」としてしまった。ポストイットやメモ帳、ToDoリストを使いこなし、ばりばりのビジネスマンよろしくスケジュール管理を行ってみたい。手帳を使うことで余計に仕事や家族に忙殺されるのではなく、読書や映画といった有意義な「暇」な時間を創り出していきたいと思う。

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吉見百穴 東松山

本日は仕事が休みだったので、家族を連れて北上尾にあるリサイクルショップや吉見百穴、東松山をぐるっと回って帰ってきた。吉見百穴では10キロの娘を抱えて急な階段を上り下りして筋肉痛になってしまった。。。1歳3ヶ月の娘も数日前からやっと二本足でよちよちと歩き出したが、まだハイハイや抱っこの方が楽なようである。東松山で「ヤキトリ」と称される焼き豚を食べてきた。辛子味噌につけると豚肉の甘味が引き立って美味しかった。

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『地獄変・偸盗』

芥川龍之介短編集『地獄変・偸盗』(新潮文庫 1968)を10数年ぶりに読み返す。
ちょうど高校1年生の授業で「羅生門」を扱っている最中なので、参考になれば本棚の奥から取り出してみた。芥川の王朝物第二集ということで、「偸盗」「地獄変」「竜」「往生絵巻」「薮の中」「六の宮の姫君」の6編が収められている。その冒頭の「偸盗」は芥川自身は「安い絵双紙」のような通俗的なもとだと、自分の一番の悪作だと自嘲する作品だったと言われるが、羅生門を巡る生死のドラマが描かれており、『羅生門』を学んだ高校生に勧めたい作品である。

『軍事同盟—日米安保条約』

山本皓一・松本利秋『軍事同盟—日米安保条約』(クレスト社 1996)を読む。
長い間本棚に眠っていた本であるが、普天間基地移転の問題が浮上している今、もう一度沖縄基地問題を頭の中で整理したいと手に取ってみた。日米安保条約の条文を紹介しながら、日米安保と日米地域協定に縛られる沖縄住民と在日米軍の日常生活を写真を交えて描く。改めて日米安保を読み返す良い機会となった。
ニュースなどで何気なく「キャンプ・ハンセン」や「キャンプ・シュワブ」といった名前を聞くが、「ハンセン」や「シュワブ」という名は、沖縄の土地の名前ではなく、太平洋戦争時の沖縄攻略の戦功者の名前であったことを知った。沖縄の置かれている状況を象徴している。リポートをまとめた松本氏は、日米の二国間の安全保障問題として捉えるのではなく、米軍の世界—アジア展開の意図と軍事の実際から考えていく必要を説く。

本日の東京新聞夕刊で、カーター元大統領のコメントが記事になっていた。カーター元大統領は、現ブッシュ政権に対して、「米国の根本的な価値観を完全にひっくり返し、ニクソン、レーガン、(父親の)ブッシュら歴代大統領が築いた政策から急速に離脱した」と批評し、「世界に害毒をまき散らした史上最悪の政権」と痛烈にこき下ろしたそうだ。さらにブレア英首相に対しても「嫌悪感を抱かせるほどブッシュ大統領に追随した」と述べ、「ブッシュ大統領の浅はかなイラク政策を一貫して支持したばかりに、世界に大きな悲劇をもたらした」と酷評したとのことである。では、何の根拠も信念もないまま米国を盲信する小泉前総理、阿倍現総理の責任は果たしていかほどなのか。

『楽しい創作入門』

三浦正雄『楽しい創作入門』(岩波ジュニア新書 1997)を読む。
執筆当時神奈川県立小田原城内高校(現小田原高校)教諭であった著者が、授業の中で詩や短歌に始まり、物語創作に至るまで、楽しく表現すること、そして、表現させる工夫が紹介されている。
高校生の口語による短歌や俳句、連歌作りや、漢詩の創作、さらには、生徒の好きな歌の詞の一部を改作したり、作詞にチャレンジしてみたり、また、ゴッホやマグリットの名画を観賞してそこから浮かび上がる情景を会話文にしたり、絵本を作ってみたりと、生徒のモチベーションを高めるような仕掛けを、生徒の創作例を交えてライブ感覚で説明されている。『羅生門』だけでなく、竹取物語など古典においても物語の続きを創作することで、古典に対する興味を深める例など、「すぐに使えるものばかり」であった。特に漢詩を創作させるというのは、一見、二の足を踏みがちであるが、文法含めて漢文に対する嫌悪感を取り除くよい機会となるかもしれない。
著者三浦氏は、創作をすることについて、単に国語の授業の質を向上させるだけでなく、次のような利点があると結論付ける。

現在、日本の社会は自分のことしか関心がないという個人主義の考え方の悪い面が目につくようになりました。人は一人だけで生きているわけではありませんから、さまざまな周囲に人々の考え方、感じ方を理解するための、想像力・思考力・感受性が必要です。「創作すること」を積み重ねていけば、想像力と思考力と感受性、そして内省心が育ちます。さらに、この国際化時代には、自分たちとまったくちがう文化・風土・生活様式の人々や国々を理解しなければなりません。そのためにこれまで以上に想像力が必要となります。また、海外の困難な状況で暮らす人々を思う感受性も大切です。もちろん、「創作すること」は、自分の心の中の世界に形を与えることですから、自分を客観的に内省することにもつながります。