日別アーカイブ: 2021年10月29日

「台湾、米軍駐留認める」

本日の東京新聞朝刊に、台湾の独立志向が強い民進党の蔡英文総統が、米軍が訓練支援目的で台湾に駐留していると認めたとの記事が掲載されていた。
地図を見れば分かるが、台湾の北の沖縄と南のフィリピンには米軍基地が配備されている。さらに台湾に米軍が常駐するようになれば、東シナ海と南シナ海の両方に睨みを効かせられることになり、中国の拡張を防ぐには、地政学的にベストな基地の配置である。

一方、中国の側にすれば、1つの中国であり、自らの領土に勝手に他国の軍隊が駐留するのは、我慢できない事態である。東シナ海、南シナ海とも新期造山帯に属しており、海底に莫大な原油や天然ガスが眠っている。米中のどちらが台湾との信頼関係を構築するのかというのは、東アジアや東南アジアの安全保障だけでなく、将来の周辺国のエネルギー政策も左右する羅針盤となるであろう。

『ウィシュマさんを知っていますか?』

先日の授業で紹介した、スリランカ女性ウィシュマさんと面会や手紙のやりとりを続けた眞野明美さん(写真左)の著書である。ウィシュマさんや支援者たちの命を救うための要望が無視され、段々と衰弱していくウィシュマさんの様子を克明に紹介する。

読み終わった本を図書館に寄贈したので、手に取ってみてください。すぐに読み終わると思います。本を読んだ感想文や、日本だけでなく他国の移民・難民政策に関わるレポートを募集しています。締め切りは期末考査最終日までとします。
フォトジャーナリストの安田菜津紀さんの書評を引用しておきます。

 入管で亡くなったスリランカ人女性・ウィシュマさんが遺した手紙を1冊に!
 名古屋出入国在留管理局=通称「名古屋入管」。〈日本人〉にはおよそ縁のないこの施設の4階には「収容場」があり、2021年3月6日、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんがここで命を落としました。いまその死の真相をめぐり、日本の外国人管理政策そのものに疑念が突きつけられています。
 ウィシュマさんは日本語を学ぶために来日した留学生でした。ところが当時の交際相手のDVのため日本語学校に通えなくなり、在留資格を失いました。ほとんど着の身着のままの状態で、助けを求めて警察に駆け込みますが、「不法滞在者」として入管に送致されてしまいます。DV被害者をシェルターではなく入管に引き渡した警察、DVの事実を知りながら収容した入管庁は、ともに法令的にも人道上でも大きな過ちを犯したのです。
 本書では、仮放免後にウィシュマさんの身元引受人となるはずだった著者・眞野明美さん宛に書かれたウィシュマさんの手紙を全て公開しました。収容場の中でウィシュマさんは眞野さんとの平穏な生活を夢み、未来への希望を抱いていました。しかし1月28日夜、吐血。収容場の過酷な環境の中でみるみる衰弱してしまいます。2月2日の手紙には、眞野さんに助けを求める悲痛な叫びが書きつけられていました。
 「彼らは私を病院に連れて行こうとしません。私は彼らに監禁されているからです。私は回復したい。……すべての食物や水も吐いてしまう。どうしていいかわからない。今すぐに私を助けてください。」 眞野さんたち支援者の必死の抗議もむなしく、適切な医療を受けられなかったウィシュマさんは1ヶ月後に亡くなりました。日本の入管施設で収容者が死亡するのは1997年以降24人にのぼります。
 なぜ入管で人間が死なねばならないのか。不法滞在とは死の報いを受けなければならない犯罪なのか。国連人権委員会に「国際法違反」と指摘される日本の無司法・無期限の収容体制こそ裁かれるべき犯罪行為ではないのか──。ウィシュマさんたちの死が問いかけてきます。私たちのことを知ってください、と。

『ウィシュマさんを知っていますか?』

眞野明美『ウィシュマさんを知っていますか?:名古屋入管収容場から届いた手紙』(風媒社 2021)を読む。
書評を担当されたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんの文章が良い。そのまま引用したい。

 入管で亡くなったスリランカ人女性・ウィシュマさんが遺した手紙を1冊に!
名古屋出入国在留管理局=通称「名古屋入管」。〈日本人〉にはおよそ縁のないこの施設の4階には「収容場」があり、2021年3月6日、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんがここで命を落としました。いまその死の真相をめぐり、日本の外国人管理政策そのものに疑念が突きつけられています。
ウィシュマさんは日本語を学ぶために来日した留学生でした。ところが当時の交際相手のDVのため日本語学校に通えなくなり、在留資格を失いました。ほとんど着の身着のままの状態で、助けを求めて警察に駆け込みますが、「不法滞在者」として入管に送致されてしまいます。DV被害者をシェルターではなく入管に引き渡した警察、DVの事実を知りながら収容した入管庁は、ともに法令的にも人道上でも大きな過ちを犯したのです。
本書では、仮放免後にウィシュマさんの身元引受人となるはずだった著者・眞野明美さん宛に書かれたウィシュマさんの手紙を全て公開しました。収容場の中でウィシュマさんは眞野さんとの平穏な生活を夢み、未来への希望を抱いていました。しかし1月28日夜、吐血。収容場の過酷な環境の中でみるみる衰弱してしまいます。2月2日の手紙には、眞野さんに助けを求める悲痛な叫びが書きつけられていました。
「彼らは私を病院に連れて行こうとしません。私は彼らに監禁されているからです。私は回復したい。……すべての食物や水も吐いてしまう。どうしていいかわからない。今すぐに私を助けてください。」
眞野さんたち支援者の必死の抗議もむなしく、適切な医療を受けられなかったウィシュマさんは1ヶ月後に亡くなりました。日本の入管施設で収容者が死亡するのは1997年以降24人にのぼります。
なぜ入管で人間が死なねばならないのか。不法滞在とは死の報いを受けなければならない犯罪なのか。国連人権委員会に「国際法違反」と指摘される日本の無司法・無期限の収容体制こそ裁かれるべき犯罪行為ではないのか──。ウィシュマさんたちの死が問いかけてきます。私たちのことを知ってください、と。