月別アーカイブ: 2002年10月

漢字検定準1級

今日は古河で漢字検定準1級を受けてきた。
勉強する暇がなかったので、ほとんど一夜漬けであった。200点中8割の160点必要なわけだが、自己採点の結果146点の不合格であった。問題集が少し古いものだったので、新しい傾向に少し戸惑ってしまったのもあったが、圧倒的に勉強不足である。しかしやればやっただけ点数につながるので、次回再チャレンジしてみたい。
以下に間違えた問題の一部を列挙しておく。

(読み)
儲君の誕生を祝う提灯行列だ。
禾黍の穂が秋風に波打つ
壷中の天に遊ぶ
稲粟を蓄蔵する
熊の爪牙は危険だ
動物にけた話だ
胸にたまっていたが消えた
めて話すのはやめてほしい
夕暮れになるとろ悲しくなる

(書き)
階段から落ちて大腿部を打った
宝石が燦然と輝く
絶妙の演技に皆は拍手喝采した
になり笠になる
骸骨を乞う
尾鰭が付く

この中で「骸骨」という字は余裕で書けるが、上記の文章から「骸骨」は頭に出てこなかった。「漫ろ」は読めてしかるべき語だが、つい古文として「すずろ」と読んでしまった。準1級レベルの漢字はどれも見たことがあるのだが、書いたことのない字が多くてやっかいが、新体字と旧体字の違いや「輔・祐・朋・哉・宏」といった人名によく用いられる字への理解が深まるのでオススメである。しかし1級はどうみてもマニアの世界である……

『ウテナさん祝電です』

中野翠『ウテナさん祝電です』(新潮文庫 1990)を読んだ。
「ブス」というものをキーワードにした楽しいエッセーなのであるが、深読みすれば、社会的弱者である女性、とりわけ美醜の差別を受ける不美人に焦点をあてることで、人間の持つ差別感情が根強いものであるということを訴えた作品だと解釈することもできる。彼女は次のように述べる。

いうまでもなく人生は不公平なのだ。美人もいればブスもいる。美男もいればブオトコもいる。もし世界が貧富の差のない平等社会になったとしても、やっぱり美醜の差は残るだろう。そうなったら、他の面(経済的、政治的な面)で平等なだけに、美醜の不平等がきわだって目立つことになり、ブスやブオトコにとっては、いっそう悲惨な状況ということになるだろう。

「環境問題を考える-砂漠化を防ぐために-」

本日はNGO緑の協力隊関西澤井隊の澤井敏郎代表の講演「環境問題を考える-砂漠化を防ぐために-」を聞きに行った。
日本語で砂漠と書くと、「石が少なく水が莫い」と書くが、中国語では沙漠と「水が少なく、水が莫い」と表記する。日本で砂漠というとサハラ砂漠のように砂の平原を思い浮かべるが、植物の生育が厳しい年間降雨量250ミリ以下の沙漠は地球上の三分の一に及ぶという。そして一度沙漠化した地域には人間が住まなくなり、一層沙漠化が進行するという悪循環が世界中で起こっている。そのために植林が有効であるという。「植林」と聞くと何か途方もない労苦のように捉えがちであるが、水をよく吸収する素材と一緒に植えることで、すくすくと成長し、数カ月単位で効果が表れてくる。

話を聞きながら田中康男の「脱ダム宣言」を思い出していた。「木を植える」ということはつい最近まで数百年単位のことであった。名園の松や屋久島の杉など下手すれば千年という時間を私達に提示する。だが生理用品やおむつにも使われている水分吸収剤を用いれば数カ月単位になるという事実は、「悠久の」という枕詞で形容してしまう日本人の自然観そのものを変えてしまうだろう。そうなると何も手を加えないだけの自然保護運動は再考を迫られるだろう。

トトロのふるさと財団

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先日仕事の関係で、狭山丘陵でトラスト運動を行っている「トトロのふるさと財団」へ出掛けた。
都心に近い狭山の里山を開発から守るために活動している財団で、非常にこころよく迎えてくれ、狭山の開発の経緯やトラスト運動の始まりについて話を聞くことができた。単に自然を守ろうというスローガンを掲げるだけでなく、実際に狭山丘陵でうどんを作ったり、下草を刈ったりと自然に触れることで、自然の可能性を体感する行事も数多く手掛けている団体である。また環境学習も行っており、教育現場で是非活かしてほしいという。言いふるされた諫言であるが、テレビや教科書で学ぶこと知識以上に、自然から学ぶ体験は多様で意義深い。今流行りの環境を学ぶ教育ではなく、環境から学ぶ教育の在り方を考えてみたいと思う一日であった。

しかし聞くところによると、狭山のトラスト運動は、早稲田大学の人間科学部キャンパスが建設される際のむやみな森林伐採に反対するために立ち上がった運動を起源とするらしい。早大の人科は西武資本が後押しとなって、「創立100周年記念事業」として開設されたものであるが、不正入試事件を隠ぺいする意図が隠されており学内でのコンセンサスが充分に得られないままの出発であった。地域から愛されない教育機関は小学校から大学、専門学校を問わず不幸である。

それにしても、そもそも早大人間科学部は「多様な人間存在そのものの解明、人間と人間をとりまく自然環境や社会環境あるいは技術・情報環境との複雑な関係の解明という、人間研究の総合的なアプローチ」を目指した学部である。しかし、そうした学問を教育研究するためのキャンパス開発に対する反対運動の中に人間性の回復の原点があるというのも皮肉な話である。

『Dolls』

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北野武監督『Dolls』(松竹 2002)を東京お台場へ観にいった。
10年前に公開された北野武監督、真木蔵人主演の『あの夏いちばん静かな海』(東宝 1991)のモチーフが似ていた。失恋のために精神的な異常を来たした菅野美穂演じる佐和子と西島秀俊演じる松本の二人が腰に赤い綱を結びつけたままひたすら歩き続けるだけの風景で展開していく。その二人の放浪と同時平行に報われない純愛のドラマが進行していく。先程の『新巨人の星』の感想と少々重なるが、『Dolls』も観客に作品理解のほとんどを預けてしまっている感がある。

□ 映画『DOLLS』公式サイト □