月別アーカイブ: 2008年8月

『T.R.Y.』

井上尚登『T.R.Y.』(角川書店 1999)を読む。
舞台は1911年辛亥革命の前夜であり、日本の陸軍が革命勢力に武器弾薬を融通し大陸への支配を強固なものにしようと暗躍する中でうごめく男たち、女たちを描く。実在の人物や時代背景が克明に描かれており、筆者の描く世界にすーと呑み込まれてしまう。日本の軍隊がロシア革命や辛亥革命、その他の独立運動に裏で絡んでいたという生々しい事実に改めて驚かされる。

『林住期』

五木寛之『林住期』(幻冬舎 2007)を、深夜の川治温泉のホテルのホールで一人読む。
すでに70代の半ばに差しかかっている著者五木氏が、50代から70代という人生の後半の生き方の哲学を述べる。
<blockquote>50代から改めて「自分」のために生きる古代インドでは、人生を四つの時期に分けて考えたという。「学生期」(がくしょうき)、「家住期」(かじゅうき)、そして、「林住期」(りんじゅうき)と「遊行期」(ゆぎょうき)。「林住期」とは、社会人としての務めを終えた後、すべての人が迎える、もっとも輝かしい「第三の人生」のことである。</blockquote>

川治温泉へ


鬼怒川温泉近くにある龍王峡の写真

五十里ダムからの眺望

家族を連れて川治温泉へ出掛けた。前日大雨洪水警報が関東全域を覆いつくし、心配の中での出発であったが、幸いにも雨の間隙を縫って観光を楽しむことができた。途中龍王峡という普段は風光明美な渓谷に立ち寄ったのだが、前日からの大雨の影響で荒れ狂うような水量が滝壷へ流れ込んでいた。ここ数日の局地的な豪雨には閉口する。
一泊した帰りには東武ワールドスクエアに出掛けた。世界各地の観光名所を25分の1のスケールで再現するテーマパークである。世界の観光地を見る楽しみよりも、日本人の職人の手による精巧なジオラマに驚く。途中芝生を補修しているスタッフの姿を見かけたが、ピンセットで芝生を丁寧に植え直していた。

□ 東武ワールドスクエア 公式サイト □

パンフレット研究:埼玉工業大学

埼玉工業大学の大学案内を読む。
名前の通り、埼玉県深谷市にあり、文系の人間社会学部と理系の工学部の2学部からなるちょっと変わった大学である。人間社会学部は情報社会学科と心理学科の2学科、工学部は機械工学科、生命環境学科、ヒューマン・ロボット学科、そして情報システム学科の4学科で構成される。情報の学科が2つあるが、人間社会学部の情報社会学科の方はITの活用を主に学び、工学部の情報システム学科はプログラミングや電子回路などを学ぶ。
「高校までの基礎知識の再確認」の授業が充実しており、英語や数学、物理、化学の復習コースが用意されている。
工学部は学科構成もシンプルで設備も整っており、地元のエンジニア養成としての教育機関としての役割を果たしているように見える。しかし、文系の人間社会学部であるが、心理学科は系列立ててあるが、情報社会学科の方は適当に教養科目を並べただけで何も身につかないような学科であるとの印象だ。
スポーツでは卓球とラグビーとサッカーが強化クラブに指定されている。

パンフレット研究:埼玉県立大学

埼玉県立大学のパンフレットを読む。
1999年に「保健・医療・福祉の分野における幅広い高度なサービスに対応できる資質の高い人材の養成や指導的役割が果たせる人材の確保を図るため、さらには、本県の保健・医療・福祉に関する教育・研究の中核となって地域社会に貢献すること」の趣旨で越谷市に開学した大学である。看護学科、理学療法学科、作業療法学科、社会福祉学科の4学科に加え、2006年には短期大学を改組され、健康行動科学専攻、検査技術科学専攻、口腔保健科学専攻の3専攻からなる健康開発学科が設けられた。

推薦入試で何度も入試要項には目を通していたが、じっくりとパンフレットを見るのは7年ぶりであろうか。ずいぶん久しぶりである。受験案内やホームページを通読する限りでは見落としがちな点がいくつかあった。まず、短大の保育学科が廃止された関係なのか、社会福祉学科で保育士の資格が取れるのだ。また、健康開発学科の健康行動科学専攻で保健体育や養護教諭の免許が取れる。また口腔保健科学専攻でも養護教諭や保健の免許が取れる。これらの学科は推薦入試で1倍台であり狙い目である。