畔蒜泰助『「今のロシア」がわかる本』(三笠書房 2008)をパラパラと読む。
米露を中心としたユーラシア地政学を専門とする著者が、BRICsの一角を担うロシアの危うい成長神話を分析している。
先日東欧諸国の民主革命に関する新書を手に取ってみたのだが、旧ソ連を構成していた国は他にもたくさんある。改めてロシアと相即不離の関係にあるCIS(独立国家共同体)加盟国との関係に着目していきたい。2017年現在、独立国家共同体はロシアの他、ベラルーシ、モルドヴァ、アルメニア、アゼルバイジャン、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタンの10カ国が加盟している。ウクライナとジョージア(グルジア)は既に脱退している。どこの国も資源大国ロシアと文字通り石油ルートや天然ガスパイプラインで繋がっている。有り余るほどのエネルギー資源を分け与えることで帝国を築き上げ、ヨーロッパやアメリカ、中東にまで圧力をかけようとするロシア
日別アーカイブ: 2017年8月1日
『ヴェネツィア 大運河』
ウンベルト・フランツォイ著、マーク・スミス写真『ヴェネツィア 大運河』(洋泉社 1994)を眺める。
ヴェネツィアの中心部をS字に横切る、全長4キロのカナル・グランデの風景写真集である。310以上の歴史的建造物の全てが、見開き2ページの横長写真に収められている。映像で楽しむのも良いが、一ページ一ページ、指でページを繰りながら眺めるのも乙である。
但し、300近い写真のどこにも自転車は写っていなかった。どうやら自転車での移動は禁止されているらしい。あの石畳の迷路のような道をマウンテンバイクで駆け抜けたら、さぞ気持ちが良いだろう。
『ヨーロッパ運河物語』
国際航路会議協会日本委員会・日本の水辺と運河を考える会『ヨーロッパ運河物語:その美とロマン、技術の系譜を訪ねて』(山海堂 1995)を読む。
ドイツやオランダ、ベルギーを中心として発達した北ヨーロッパの運河の写真が多数掲載されている。ヨーロッパでは景観を守るため、所有者や管理者である役所のプレートがない。また、日本のようにフェンスや壁などで川の景観が遮られていないため、遊覧船から風景を楽しんだり、水辺のカフェテリアで寛いだりできる。
日本では急峻な地形ゆえの洪水対策に力をいれなくてはならないという理由があるのかもしれないが、著者も指摘しているように、もう一度「水運」を見直すことから、運河の整備や水辺を楽しむ生活を取り戻していくべきである。
『シャングリラ 東チベットの仙境へ』
渡辺千明写真集『シャングリラ 東チベットの仙境へ』(東京新聞出版局 2003)を眺める。
チベット文化の影響下にある中国四川省や雲南省の辺境地域の山や草花、そしてそこに生きるチベット族の人々の表情が収められている。
空に突き刺さんばかりの険しい峰の威容が印象に残った。
『名もない道』
ヘレンロジャース他・写真集『名もない道』(二見書房 2003)を眺める。
タイトルにある通り、アフリカや西アジア、ヨーロッパ各地にある、説明書きも何もない道路の写真集である。地平線の向こうへと続く道路、森の中へ消えてゆく小道、足跡や車輪の跡のついた砂道、山裾を蛇行する砂利道、雪に覆われた道、石畳の道、道、道、道。
風景写真集にありがちな、解説や詩的文章など一切ないのが良い。