内田康夫『シーラカンス殺人事件』(徳間文庫 1995)を読む。
1983年に刊行された本の文庫化である。警視庁の名探偵刑事岡部警部の緻密な捜査によって、ほとんど容疑者が決まりかけていた事件が、ドミノが倒れるように一気にどんでん返しで解決される。内田氏の初期の作品にあたり、最後の最後で謎が全て明かされ合点が行く仕掛けの浅見光彦シリーズに繋がる展開となっている。
僕はどちらかといえばサスペンスタッチのものよりも、パズルを解くようなものが好きですし、意外性や不思議を大切にしたい性格なのです。推理小説の楽しさは、ゲーム感覚で読める-という点にあるといっていいかもしれません。
小説の舞台となったシーラカンスの生息地のコモロ・イスラム共和国という国が本当にあるとは知らなかった。現在ではコモロ連合と名を変え、モザンビークとマダガスカルの間の海峡にある小さな3つの島からなる国である。人口は約80万人であり、3つの島から大統領が輪番制で選出され政治的安定が保たれている。