橋爪大三郎『世界は宗教で動いている』(光文社新書 2013)をパラパラと読む。
慶應丸の内シティキャンパスで行われた「宗教で読み解く世界」の講義(3時間×全6回)を元にしており、「ヨーロッパ文明とキリスト教」や、「プロテスタントとアメリカの行動原理」、「イスラム教と平和」、「ヒンドゥー教とインド文明の関わり」、「中国文明と儒教・仏教」、「日本人と宗教」の6項目で、宗教と現代社会の関わりについて述べられている。
余裕がなかったので、少ししか読めなかったが、興味ふかい内容があった。
まず、中国は儒教的な考え方がベースにあり、祖先を崇拝して、祖先を基点に自分たちを定義するという考え方がある。自分たちが立派なのは祖先が立派だから。その立派な祖先を祀っている自分たちは、よそのグループよりは立派なのだ、という自己意識を持つ。そうやって人々が、父系の血縁集団を作って結束する。日本でも祖先を大事にするという考え方はあるが、せいぜい自分の親や祖父母どまりで、それより上の世代の、自分が知らない祖先に対しては、急に冷淡になってしまう。中国では、むしろ上の世代の祖先のほうがもっと偉い、という考え方があり、祖先がいた証拠(墓や位牌や廟)を手がかりに祖先を崇拝する儀式を行う。
祖先崇拝がベースになっているので、中国人は自分が死んだら子孫から崇拝されると思って安心する考え方がある。逆に言えば、子孫がいなくなったら大変、という強迫観念がある。特に男の子がいないことは重大事となる。こうした背景を知ると、50%の確率で男の子の跡取りができなくなる「一人っ子政策」の大胆さが理解できる。