日別アーカイブ: 2018年1月4日

「自治体クラウド 全国に」

本日の東京新聞夕刊に、市区町村が共同で民間データセンターに住民の個人情報を預ける「自治体クラウド」を全自治体で導入する方針を政府が固めたとの記事が掲載されていた。近隣の市区町村がグループを作り、各庁舎と民間のデータセンターを専用回線でつなぎ、住民基本台帳や納税などの情報を一括管理する仕組みで、自然災害によって庁舎が被災するなどした場合もデータ喪失が避けられるという。
情報流出に対する懸念から、民間に委託する点を問題視する声もあろうが、国が主導し全自治体で導入することで経費の点では大きくアドバンテージが出てくるだろうと思われる。「個人情報保護」という錦の御旗から、やたら個人情報にガードをかけすぎて、庁舎内での適切な情報共有すら行われず、業務に無駄が生じているのが現状である。情報共有、迅速な行政対応という観点からも、自治体個別に情報管理部門を置くという考えは改めるべきである。

 

自治体クラウド
複数の自治体が共同で住民に関する情報を外部の民間データセンターに託し、専用ネットワークで一元的に管理するシステム。2016年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の中で導入の加速が明記された。データセンターは、耐震・免震構造の建物で、厳重な入退館管理態勢を敷くなど安全面に配慮している。一般に高度なセキュリティー対策が施され、サイバー攻撃に強いとされる。自治体は削減された費用や人材を他分野で有効活用できるとの指摘がある。自治体が個別に導入する場合は「単独クラウド」と呼んで区別している。

「効率的に『ワイヤレス充電』」

本日の東京新聞朝刊に、ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大の天野浩らの研究チームが、離れた場所から電波を使って電気を送る「遠隔給電システム」の開発を進めているとの記事が載っていた。実用化されれば、走りながら電気自動車(EV)に充電できたり、宇宙で太陽光発電した電気を地上に送ったりと、社会全体に影響が及ぶ。
ワイヤレスで給電する技術は世界中で開発競争が激化しており、天野教授らが目指すシステムは離島などへ電波で送電したり、洋上風力発電の電気を都市部などへ効率よく送ることもできるという。天野教授は「遠隔給電は、物流や人々の移動手段に革命を起こす。みなさんの生活を豊かにできる」と意気込んでいる。

チームが開発を目指すシステムは、電気を高周波帯の電波に変換して、アンテナを使って「レーザー光線」のように送り、受信アンテナを通じて再び電気に戻す仕組みである。現在の技術では給電時の電力ロスが大きく、実用化が困難だったが、天野教授のチームは窒化ガリウムの結晶化技術を活用し、効率的に電圧や電力を調整する電子部品の高性能化に世界に先駆けて成功している。

天野氏の述べる「生活を豊かにする革命」という言葉が印象に残った。確かに生活の諸相の全てが変わる期待を感じる技術である。今後の報道に注目したい。

市内をサイクリング

真ん中と下の子と3人で、半日ずっと市内のトレカショップ巡りをした。
ドラゴンボールヒーローズの「神カード」を求めに都合5軒を周り、今日も10キロ近く、それも折りたたみ式自転車でペダルを回すこととなった。
住宅地の中の細い道を繋いで走ったのだが、所構わず車が出てきて猛スピードで走り抜け、その度に合図を出したり声を掛けたりとやたら忙しかった。
よく自転車は危ないと言われるが、実際は自転車で街中を安全に走れないほどに、車中心社会が危ないのである。ペダルを回しながら、一体国土の狭い日本でこれだけの自家用車が必要なのだろうかと考えた。徒歩や自転車圏内で日常生活に必要なものが手に入り、電車や路線バスで少し足を伸ばせば、嗜好品なども手に入る頃合いの距離感が大切なのではなかろうか。車での移動が基本になるから近所の付き合いも無くなり、地域のコミュニティも崩壊してしまう。近年部活動を地域スポーツに移行するという話もあるが、自転車圏内に施設や人材がいなければ、地域スポーツ自体が成り立たない。
世界の趨勢は電気自動車にシフトしつつあるが、これを機に自動車がないと暮らせない町からの脱却ができないものだろうか。

「全原発、速やかに廃止 立民の原発ゼロ法案の骨子判明」

昨日の東京新聞朝刊一面に、立憲民主党の原発政策に関する骨太な方針に関する記事が掲載されていた。
通常国会前に、原発に関する党としての見解を明らかにするという姿勢は素晴らしい。
原発関連は全てダメであり、省エネと再生可能エネルギーの拡大を掛け声だけに終わらせず、法的整備のもとに政府の責任で実施すると断言している。
今年、そうした立民の考えを自分なりに咀嚼し、動いていきたい。


以下、東京新聞ホームページから転載

 立憲民主党が今月下旬召集予定の通常国会で提出する方針の「原発ゼロ基本法案」の骨子が二日、判明した。「速やかに全ての商用原発を廃止する」ことを政府の基本方針とし、全原発を止め、エネルギー危機に陥った場合以外は稼働を認めない。原発に依存しない社会の実現に向けた「国の責務」を明確にする。民進党が「二〇三〇年代」などと将来の目標としていた議論と比べ、具体的な方策に基づき、すぐにでも原発ゼロを実現させることが狙いだ。 (山口哲人)

 法案は「基本理念」を、高速炉の実験炉などを含めた原発を「計画的かつ効率的に全て廃止」と掲げる。電力需要減と再生可能エネルギーの割合増で原発に依存しない社会をつくる。「基本方針」では、原発の運転は石油輸入が途絶えるなど「原子力以外のエネルギー源を最大限活用しても電気の安定供給確保に支障が生じ」、事故時に有効に機能する地域防災計画が作られている場合に限定。非常時を除き稼働を事実上認めない内容だが、「廃止」との関係は分かりにくいと指摘される可能性がある。

 原子炉等規制法が原則四十年とする運転期間の延長や新増設は認めない。使用済み核燃料の再処理と核燃料サイクルも中止する。原発を不要とするため、三〇年時点の電力需要を一〇年比で30%以上減らし、再生可能エネルギーによる発電割合を40%以上とする。こうした方針を確実に達成するため、基本法施行後二年以内をめどに法制上の措置を講ずるとした。政府は、廃炉で経営悪化が想定される電力会社の損失に必要な支援を行い、地域経済への悪影響が懸念される立地自治体にも国が責任をもって対応する。

 立憲民主党は希望の党、民進党(衆院会派は「無所属の会」)、共産党、自由党、社民党の野党五党に法案の共同提出を呼び掛け、東京電力福島第一原発事故から七年を迎える直前の三月上旬に提出を目指す。小泉純一郎、細川護熙両元首相が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(会長・吉原毅城南信用金庫顧問)も同様の法案を作成している。

◆「今すぐ実現可能」 脱原発の旗印に

<解説>
 立憲民主党が提出する「原発ゼロ基本法案」は、原発ゼロ実現に向け、現実的で具体的な道筋を示そうとしていることが特徴だ。安倍政権は原発再稼働を推進しているが、野党第一党が「脱原発は今でも可能」とする法案を出せば、市民や野党の脱原発勢力が再結集する旗印になる可能性がある。

 旧民主党は、党内に電力労組出身議員を抱え、速やかな原発ゼロには必ずしも前向きではなかった。現在でも、民進党は「三〇年代」とし、希望の党は「三〇年までに」と主張する。一方、立憲はすぐにゼロは可能との立場を鮮明にし、民進や希望と大きく異なる。原発は「麻薬」に例えられることがある。電力会社や自治体が一度手を出すと、原発に依存した経営や財政となり、事故による不利益が甚大になる可能性が分かっても止めることが難しいからだ。

 立憲民主の法案骨子は、根本的な「治療策」として、政府が経営と地域経済に「法制上、財政上その他の措置を講じる」とした。「原発国有化」という選択肢も念頭にある。電力会社や立地自治体とともに脱原発を進めることを重視する点で、これまでの脱原発議論とは「本気度」が異なると言える。法案に与党が賛同する可能性は低い。だが、野党第一党が速やかな原発ゼロを目指す姿勢を示すことで、原発の是非が再び、国会論議などで大きな争点となりそうだ。 (山口哲人)

 

『寒灯』

西村賢太『寒灯』(新潮社 2011)を読む。
第144回芥川賞受賞の『苦役列車』に続く、作者を模した主人公「西村貫太」のその後を描く私小説である。表題作のほか、『陰雲晴れぬ』『肩先に花の香りを残す人』『腐泥の果実』の3編を収める。4編とも時間軸の繋がった連続小説となっており、駄々っ子で自分の思い通りにならないと苛立ちが昂じる扱いにくい性格の貫太と、貫太とは正反対の真っ当な感覚を持った同棲相手の秋恵との諍いを中心に話が進んでいく。
今回も「慊(あきたりな)い」という形容詞が連発される。