本日の東京新聞朝刊に、ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大の天野浩らの研究チームが、離れた場所から電波を使って電気を送る「遠隔給電システム」の開発を進めているとの記事が載っていた。実用化されれば、走りながら電気自動車(EV)に充電できたり、宇宙で太陽光発電した電気を地上に送ったりと、社会全体に影響が及ぶ。
ワイヤレスで給電する技術は世界中で開発競争が激化しており、天野教授らが目指すシステムは離島などへ電波で送電したり、洋上風力発電の電気を都市部などへ効率よく送ることもできるという。天野教授は「遠隔給電は、物流や人々の移動手段に革命を起こす。みなさんの生活を豊かにできる」と意気込んでいる。
チームが開発を目指すシステムは、電気を高周波帯の電波に変換して、アンテナを使って「レーザー光線」のように送り、受信アンテナを通じて再び電気に戻す仕組みである。現在の技術では給電時の電力ロスが大きく、実用化が困難だったが、天野教授のチームは窒化ガリウムの結晶化技術を活用し、効率的に電圧や電力を調整する電子部品の高性能化に世界に先駆けて成功している。
天野氏の述べる「生活を豊かにする革命」という言葉が印象に残った。確かに生活の諸相の全てが変わる期待を感じる技術である。今後の報道に注目したい。