本日の東京新聞夕刊に、防衛省が海上自衛隊のイージス艦搭載の迎撃ミサイルを地上配備する「イージス・アショア」の導入を決め、2018年度予算の概算要求に設計費を盛り込むとの記事が載っていた。当初は導入に向けた調査費を計上する方針だったが、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射に対処するために前倒しした。
記事だけを読むと、調査をすっ飛ばして導入が決定されたと読み取れるが、あまりにご都合主義ではなかろうか。そもそも日本近海に配備されている迎撃ミサイルの対応能力すら試されないままに、防衛能力の向上が不可欠との判断で、地上にも導入するというのは如何なものだろうか。省内でも「北朝鮮の脅威」に誰も反対できない雰囲気のまま押し通されたのだろうか。それともトランプの圧力?
また、今回の概算要求には、自衛隊初の宇宙部隊の創設が盛り込まれている。日米が全世界を監視する体制構築を目指すために、日米が使用する人工衛星を対衛星兵器などから守る部隊を作るというのだ。しかし、成層圏の遥か先に浮かぶ衛星を守ることが「自衛」隊の管轄領域なのだろうか。2015年に策定された「日米防衛協力のための指針」には、「自衛隊及び米軍は、日本の上空及び周辺空域を防衛するため、共同作戦を実施する」との定めはあるが、宇宙は想定の範囲外である。また、「日米両政府は、適切な場合に、通信電子能力の効果的な活用を確保するため、相互に支援する」ともあるが、衛星の防衛がこれに該当するのであろうか。宇宙に浮かぶものは全て通信能力を備えており、さらに国境もないため、宇宙そのものを米国が支配し、日本がそれにスネ夫のように追従する形になるのか。
テレビで「核の脅威」が盛んに煽られるが、その一方でひっそりと行われる政治に注意を払いたい。