初めての12インチの自転車整備であった。
トイザらスが販売している自転車で、余り物のパーツを組み合わせているため、何だかなあと感じることが多かった。
日別アーカイブ: 2021年9月20日
『第五福竜丸』
広田重道『第五福竜丸:その真相と現在』(白石書店 1977)をパラパラと読む。
著者は戦前から反戦運動で数回にわたって投獄された経験を持ち、都立第五福竜丸展示記念館の初代館長を務めている。本書では1954年3月1日にビキニ環礁水爆実験で被曝した第五福竜丸事件の顛末と、その後の保存運動が丁寧に解説されている。第五福竜丸の問題が日米両政府の共同歩調により隠蔽・矮小化された事実や、第五福竜丸本体が後に日本政府によって巧妙に隠され、挙句の果てに屑鉄廃棄される寸前に当時の美濃部亮吉都知事によって保存されることになった経緯、原水禁と原水協の哀しい路線対立など、現場で活躍されたからこその思いが込められている。
『大地と人を撮る』
高野潤『大地と人を撮る:アンデスを歩きつづけて』(岩波ジュニア新書 2008)を読む。写真学校を卒業後、30年以上にわたってアンデス山脈の風景と、そこに暮らす人々を追いつづけた著者が、自身が経験してきたままにアンデスでの生活の厳しさを語る。
ジャガイモとトウモロコシは南米を原産とし、世界に広がった代表的な作物である。降水量も少なく、痩せた土地でも育つこの2つの作物は、世界中の飢えを救っている。また、日本で稲が食糧、酒、燃料、肥料、屋根、畳、綱などに利用されてきたように、アンデスでは多品種のジャガイモから食料だけでなく、保存食や酒、家畜の餌としても使われ、最後は種芋としても利用される。南米を代表する動物のリャマやアルパカも荷物の運搬や耕作の手伝いだけでなく、毛を利用して服を作ったり、最後は人間の胃に収まっていく。日本の江戸時代の農村のように、無理や無駄がなく、人間と社会と自然の間でリサイクルの輪が完結している。
『ともだち刑』
雨宮処凛『ともだち刑』(講談社 2005)を読む。
著者の経歴に近い私小説のような作品である。美大予備校を中退し実家に帰る女性の現在進行形の物語と予備校での学生生活の振り返り、中学校時代の部活動の思い出の3つの物語が同時進行で展開されていく。話の中心は中学校時代の部活動であり、”ともだち”という括りゆえに、いじめを受けているにも関わらず、逃げることもできずに、ただただ心の奥底が損壊していくストーリーが綴られる。
雑誌「群像」に掲載された作品であり、純文学に近いテイストを感じた。ただ、教師の描き方が雑で、考えられないような”いじめ”の調査シーンなど、ちょっと興醒めであった。