雨宮処凛『ともだち刑』(講談社 2005)を読む。
著者の経歴に近い私小説のような作品である。美大予備校を中退し実家に帰る女性の現在進行形の物語と予備校での学生生活の振り返り、中学校時代の部活動の思い出の3つの物語が同時進行で展開されていく。話の中心は中学校時代の部活動であり、”ともだち”という括りゆえに、いじめを受けているにも関わらず、逃げることもできずに、ただただ心の奥底が損壊していくストーリーが綴られる。
雑誌「群像」に掲載された作品であり、純文学に近いテイストを感じた。ただ、教師の描き方が雑で、考えられないような”いじめ”の調査シーンなど、ちょっと興醒めであった。