日別アーカイブ: 2021年9月26日

『日本の地震活動』

総理府地震調査研究推進本部地震調査委員会編『日本の地震活動:被害地震から見た地域別の特徴』(財団法人地震予知総合研究振興会地震調査研究センター 1997)をパラパラと眺める。国土地理院や旧帝大の研究者が名を連ねている研究データ集となっている。

図を順番に見ていけば明らかであるが、太平洋プレート年間7cmほど、東日本が乗っかる北米プレートの下に沈みこんでおり、過去の地層や断層の調査から、東日本大震災級の地震規模と津波は十分に予見可能である。小学校低学年の児童でも分かることである。

ところが、事故当時の東京電力の社長は「想定外」の津波の規模であったと、責任逃れの理屈を口にしている。なぜ、政府の機関や国立大学の教授が時間と予算と施設を使って、丹念にデータをまとめているにも関わらず、日本全国に原発をクリーンエネルギーだと吹聴し作ってきたのかということである。目の前の利益に目が眩む政権や企業を嗜めるための科学ではなかったのか。

紙質も良く、立派な装丁の本を作るのではなく、行動する科学者であってほしい。

『脳のメカニズム』

伊藤正男『脳のメカニズム:頭はどう働くか』(岩波ジュニア新書 1986)を読む。
一度読んだことがある本だったので、サラッと読んだ。脳の部位別にその仕組みと機能について平易な言葉で説明している。いかにも岩波ジュニア新書らしい一冊だった。この手の本は心理学や「人間として〜」といった倫理的な色合いになりがちだが、あくまで自然科学の見地から、実験とそこから得られたデータから導き出される結果だけを述べており、著者の見識の高さが垣間見える。

『子どもの肖像』

谷川俊太郎=詩・百瀬恒彦=写真『子どもの肖像』(紀伊國屋書店 1993)をパラパラと読む。
1988年と1993年の子どもの成長を撮った写真を並べて、テキトーに谷川氏の詩を並べただけの安易な企画本。

『萩』

吉賀大眉文・神山典之写真『『萩:日本のやきもの4(淡交社 1986)をパラパラと読む。
萩焼の歴史と作品の写真で構成されている。萩焼は文禄・慶長の役で帰化した朝鮮の陶工が、李朝陶技を毛利氏が治める防長二州の萩の地に伝えたことから始まる。

後半に萩焼の名作鑑賞の項があるのだが、全く意味が分からなかった。どうやら土の雰囲気を残して焼かれているものが価値が高いらしい。