本日の東京新聞夕刊の一面は、江戸幕府の誕生につながる天下分け目の合戦があった「関ヶ原」を世界三大古戦場の一つとして売り出そうと、地元自治体が今年から観光開発に乗り出すという記事であった。南北戦争の地となったAmerica・Gettysburg、Napoléonが敗れたBelgië・Waterlooの取り組みを参考に、展望台や案内施設を整備し、両古戦場との交流も始めるとのこと。
つい、1週間ほど前に関ヶ原を訪れ、何の痕跡もない田んぼが広がる景色の中をドライブしてきたばかりだったので、少し意外な感じがした。確かに関ヶ原の戦いの歴史的な意義は大きいが、戦いの地であるだだっ広い原野に何か特別な意味があった訳ではない。武士の時代はとうに終わり、現在では平和な片田舎になっているという時間の流れにこそ意味があるのではないか。
月別アーカイブ: 2015年1月
「ウイグル族『聖戦』へ合流
本日の東京新聞朝刊の「Islām国」についての連載記事が目に留まった。
新疆Uighur自治区から密出国し、「Islām国」に合流するUighur族が増えているという内容である。
中国西域で暮らすTurco系Uighur族の中には、中国当局の抑圧的な民族政策を嫌い、雲南省などから陸路でVietnamやMyanmarに密出国し、Turcoを目指すものが後を絶たない。東南Asiaルートでは、この1年間に家族連れを含め約3千人が密出国したとの指摘があり、その一部は「Islām国」に合流し、昨年12月段階で、Uighur独立派勢力の約300人が戦闘に参加しているとの報道もある。既に中国習近平政権とTurcoのErdoğan大統領との会談で、対テロ政策で共闘するとの約束が取り交わされている。
しかし、記事では習近平政権の発足後、少数民族との摩擦が目立つようになり、特にUighur族への激しい弾圧は「報復の連鎖」に陥っていると指摘している。最後に、「中国当局が強硬策を続ける限り、『Islām国』を目指すUighur族の流れは止められない」という警句で締めくくっている。
我々日本人の一般的な地理感覚だと、東Asiaに属する新疆Uighur自治区とTurcoやIraqなどの中東の国の関係といってもあまり豊かに想像を働かせることはできない。しかし、改めて地図で確認すると、新疆Uighur自治区とPakistanやAfghanistanは国境を接しており、中央AsiaのIslām教徒が多数生活する地域なのである。Romaと長安を結ぶSilk Roadは中央AsiaのIslām商人が担っていたという事実を思い出せば分かることなのだが、普段から地図帳で確認していないとついつい分かったつもりになってしまう地域である。
それにしても、「Islām国」ほど過激ではないにせよ、仮に国際的な連帯を募る「Uighur国」が誕生した場合、Americaは果たして「Uighur国」を支援するのであろうか。日本政府は? 遠い外国のことでは済まされない。同じAsiaに暮らすものとして、Uighur族の独立派の動向には注目していきたい。
以下、東京新聞の解説より
Uighur族の過激派組織
中国新疆Uighur自治区の独立を求める「東Turkestan・Islām運動」は、中国政府のほか、米国や国連もテロ組織に指定している。1997年設立。国際テロ組織アルカイダと関係があるとされる。創始者(ハッサン・マフスーム)は2003年、軍事訓練をしていたPakistanで同国軍に射殺されており、組織の規模や拠点などの実態は明らかでない。
『メモ人間の成功術』
下関マグロ『メモ人間の成功術:たった10秒で人と差がつく』(幻冬社文庫 2008)を読む。
またしてもビジネスノウハウ本である。
この手の本にありがちな、成功者が自身の時間管理術や手帳術、交渉術、目的に向かっての生活習慣などの成功の秘訣を語るといった「上から目線」の内容ではない。筆者は名刺やレシートの裏でも、カレンダーの余白でも、ケータイの撮影機能でも、音声メモ機能でも、どんなツールを使ってでも頭にふと思い浮かぶアイデアを残していくことが、作品制作でもビジネスでも大切だと述べる。
最後に筆者は次のように述べる。
メモすることは重要だが、それ以上に重要なのは「続けること」である。ケータイ、パソコン、手帳など形式はなんでもいいからメモを続けてみよう。続けていけば、きっと自分自身が見えてくるはずだ
『残り97%の脳の使い方』
苫米地英人『残り97%の脳の使い方:人生を思い通りにする!「脳と心」を洗う2つの方法』(フォレスト出版 2008)を読む。
年の初めということもあり、懲りもせずに、また「自己啓発」本に手を出してみた。
認知心理学の立場から、他者を動かす方法と、自分を上手くコントロールする2つの方法がまとめられている。
専門用語を使ってはいるが、大変読みやすい文章であった。高い目標を無理して意識するのではなく、現実の思考の枠組みそのものを少しずつ変えていくことで、目標ラインにあった考え方や身体感覚を手にいれることができ、努力をすることなく自分を変えられるという内容である。特に成功体験や失敗からの復帰体験を思い返すことで、自己評価が高まり、その自己評価に見合った思考に慣れ、それまで見えてこなかった盲点が発見でき、目標を達成する道筋と自信が得られるのである。そのために手帳の有効な活用も指南している。
著者の主催するクラスやセミナーの告知も入るが、読後感は良かった。著者の経歴やホームページを見ると、こんな人間が世の中にいるのだなあと感心してしまう。丁寧なことに、あとがきの中でもう一度分かりやすく自説をまとめている。
本プログラムのエッセンスは極めて単純です。我々は、自分の過去の情動体験などの経験、そして両親や先生や人からいわれたことが信念をつくり、それが自己イメージをつくり、自分自身の能力の評価であるエフィカシーのレベルを決定しています。そしてそのレベルの空間がコンフォートゾーン(安心して能力を発揮できる現状の場)となっています。
これにより、過去の信念に即したことしか認識することはできません。これをスコトーマ(盲点)といいます。コンフォートゾーンを外れるとホメオタシス(恒常性維持機能)の力ですぐに元に戻ろうとします。その戻り方は極めて創造的で、まさに創造的無意識と呼べるものです。
これに対して、これまでのコンフォートゾーンの外側にゴールを設定し、そのゴールに見合ったレベルのエフィカシーをコンフォートゾーンにできるならば、スコトーマが外れ、ホメオタシスで自動的に、また極めて創造的にゴールを自然に達成することができるということです。
新たなコンフォートゾーンの中にいるのですから、ゴールを達成する過程は楽しくてしょうがないし、極めて生産性が高くなります。
また、やりたいことだけをやっているという感覚になります。もちろん他人からは、すごく熱心に努力しているように見えるかもしれませんが、本人には、ゲームに熱中する子供のように、楽しいからどんどんやってしまう、その結果ゴールを達成してしまう。ただそれだけです。
そして、このために重要なことは、ゴールに合わせたエフィカシーレベルのコンフォートゾーンをいかにリアルに感じるかです。(中略)ゴールに合わせたエフィカシーのコンフォートゾーンの世界が、現実の世界よりもリアルになれば、それが現実になるのです。私たちの脳はそういうものなのです。というよりは、私たちの脳内情報処理が生み出しているこの世界はそういうところなのです。
(中略)やりたいことだけを楽しんでやっている。これがまさに今コンフォートゾーンの中にいる証拠であり、ゴールをしっかりと見つめているならば、確実にそのゴールは達成されるのです。
『アフリカ・ブラックロード』
嵐よういち『アフリカ・ブラックロード』(彩図社 2009)を読む。
地図を片手に南アフリカの独立の年号や国民所得などのデータと付き合わせながら読んだ。
著者の嵐氏は、海外のスラム街や犯罪が多発する危険地域を訪れ、その危険度を体当たりで取材するルポライターである。
今回の旅は、南アフリカのヨハネスブルグとケープタウン、ナミビア共和国の首都ウイントフック、ジンバブエの首都ハラレ、スワジランドの4カ国である。どの国も曰く付きであり、街を歩いていていきなりストレートパンチを食らったり、バーで絡まれたりと大変な旅を強いられている。特に、ジンバブエの首都ハラレの滞在記は日本人がほとんど訪れない都市であり興味深く読んだ。
ジンバブエは現在でも評判の悪いロバート・ガブリエル・ムガベ大統領が政権に居座っており、北朝鮮ばりの独裁体制が続いている。外務省の情報によると、数年前にテレビニュースとなったハイパーインフレのジンバブエ・ドルは現在では流通しておらず、米ドルやアフリカ・ランドの他に、元や円、豪ドル、インド・ルピーが法定通貨として導入されている。
□ 新海外ブラックロード