日別アーカイブ: 2015年1月1日

2015年元日

本日の東京新聞朝刊は読み応えがあった。
一面は、防衛省が日本の防衛関連企業から武器を購入した開発途上国を対象とした援助制度の創設を検討しているとの記事であった。官民一体となって積極的に武器を売り出そうという姿勢は、戦争そのものを煽る最低の行為である。南シナ海を巡り中国との緊張が続く東南アジア諸国連合(ASEAN)に対する「積極的平和協力」ということだが、自由市場経済を守るための米国の武器が、世界各地の紛争の火種となっている現実を見れば、日本政府の考えが愚の極致であることは間違いない。
ジャーナリストの青木理氏は次のように語る。

日本は戦争ができる国になっていこうとしている。「国のため」に推進される武器輸出が、果たして「国民のため」になるのであろうか。

何でこんな頭の悪い首相を再任させてしまったのか。そのために何ができるのか。今後1年の過ごし方を考えてみるきっかけとなる良い記事であった。

また、厚労省の人口動態統計によると、2014年に生まれた赤ちゃんは100万1千人となり過去最少となった。一方、死亡数から出生数を引いた人口の自然減は26万8千人で、人口減少は過去最大となった。
今後も長らく続いていくこの国の人口減少は、社会のあらゆる分野における抜本的な構造改革を迫る。教育分野においては、これまでの他者に迷惑を掛けない「平凡」を増やすよりも、公教育における平等を原則としつつも「異才」を伸ばす工夫が求められる。

トヨタ自動車グループが、風力や太陽光発電による電気で水を電気分解し、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を出さずに水素を作る検討を始めたとの記事があった。
トヨタが昨年末に市販した燃料電池車(FCV)「ミライ」の燃料である水素は、現状では製鉄所やコンビナートで石炭などの化石燃料を燃やす際の副産物として作られるケースが多く、二酸化炭素が発生してしまっている。トヨタ通商は、風力発電所やメガソーラーで作られた余剰電力で水を水素に電気分解し大量貯蔵する事業を2020年に本格化するということだ。
もしこれらの取り組みが本格的に普及すれば、日本社会は大きく変わっていくのではないか。技術革新が進み、市町村単位で再生可能エネルギーを水素に変換し販売できるようになれば、運搬に伴う二酸化炭素を全く排出せずに循環型社会を作ることができる。また、福岡市の下水処理場で汚泥の処理過程で生じるメタンガスから水素を取り出し、FCVに供給する世界初の実証事業を九州大などと4月に始めるそうだ。
原発に依存しない社会に向けた事業として注目したい。また、こうした社会形成に携わる気概ある若者を育てていきたいと思う。

特集記事の「こちら特報部」は高知窪川原発誘致の反対運動の先頭に立っていた島岡幹夫さんを取り上げていた。島岡さんは、原発反対運動の最中に交通事故に遭ったり、脅迫電話が続いたりしたそうだ。しかも、反対運動に勝利した後、今度は反対派の仲間からも原発反対懐疑の声を投げかけられ、20年以上も町内で孤立していたという。しかし、「原発があって町は栄えぬ」という信念を持ち続け、2011年3月の福島原発以降、そうした負の評価は一掃されていった。

正月早々、他のマスコミでは取り上げられないような気骨ある人物を取り上げる東京新聞の編集姿勢にはエールを送りたい。
以下、「デスクメモ」のコメントを引用してみたい。なにやら革新政党の機関紙のような文面である。
「おめでとう」と言いにくい。総選挙後、特定秘密保護法による秘密指定が始まった。新たな戦前かもしれない。だから読者の皆さんにもお願いしたい。勇気を奮って、情報をどんどん提供してほしい。情報は権力の泉なので、その暴露は権力を揺さぶる。「不屈」に学びつつ、今年もゲリラ戦に挑みたい。

『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』

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真ん中の子を連れて春日部のイオンシネマで、高橋滋春・ウシロシンジ監督『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(2014 東宝)を観た。
小さい子ども向けの映画であったが、スターウォーズやドラえもん、ジブリ映画などを上手く取り入れており、30代、40代のお父さんお母さんも楽しめる工夫が凝らされている。また、60年前の昭和30年代にタイムスリップするので、60代以上のお爺さんお婆さんも楽しめるような時代やキャラクター設定がなされている。親子3世代の万人受けを狙ったアニメ映画の「紅白歌合戦」と言っても過言ではないだろう。
それにしても、よく計算されつくしたアニメである。テレビ、ゲーム、音楽、映画などのメディアミックスは元より、戦隊シリーズと似た玩具の販売や、ゆるキャラブームに乗ったキャラクター商品の展開など、日本人の感性も巧みに計算した上での戦略には全くの隙がない。
映画の最後には、1年後の年末映画の宣伝があったが、当分の間、この勢いは衰えないであろう。