本日の東京新聞朝刊に、ベネズエラでマドゥロ大統領の辞任を求める反政府デモが激化しているとの記事が掲載されていた。マドゥロ大統領は、反米左派のカリスマであったチャベス大統領の死去に伴い、後継者として4月に就任している。しかし、年56%という高いインフレ率に加え、トイレットペーバーなどの日用品や食料品が不足する状態が続き、首都では広範囲な停電も頻発しており、学生を中心とした反政府デモが相次いでいる。
しかし、反米左派の政府と対立しているのは親米右派の市民であり、米国や米国と軍事同盟を結んでいるコロンビア政府が反政府運動を裏から支援しているとの報道もあった。米国の陰謀を示す確たる証拠は無いようだが、おそらくは米国の間接的な支援は受けているのであろう。
この報道記事を読みながら、昔読んだ五木寛之の『戒厳令の夜』(1976 新潮社)のラストシーンだったかに出てきた「チリ・クーデター」を思い出した。1970年にチリの大統領に就任した人民連合のサルバドール・アジェンデ博士に対して、アメリカ政府に支援された反政府勢力が軍事クーデターを起こし、首都サンティアゴを制圧し軍事政府を打ち立てたという事件である。
米国の南米支配の手管は40年を経ても何ら変わりはない。世界的に展開されるこうした「敵の敵を支援する」という米国のやり方はしっかりと覚えておきたい。