泉麻人『たのしい社会科旅行』(新潮社 1999)を読む。
ちょうど40歳になった著者が、編集者と同行して小学校の社会の時間に習った「重要」な土地を見学に行くというルポルタージュである。95年から98年にかけて「小説新潮」に不定期に連載された軽めのコラムなので、先日購入した帝国書院の地図を片手にあっさりと読んだ。ウランが算出する岡山の人形峠、明治期の輸出産業を支えた富岡製糸工場、オリーブで有名な小豆島、オリンピックや新幹線と肩を並べた黒部第四ダム、幕末維新の歴史が残る山口の萩、「輪中」で知られる濃尾平野の長島町、雪対策の進んだ上信上越、北海道最東端に位置する根室釧路網走、最後は鉄砲伝来の地種子島の9カ所が紹介されている。プロペラ機のYS11に乗ったり、今は橋が通ってしまったところを船で渡ったり、20年の時の流れを感じる箇所もあり面白かった。
『たのしい社会科旅行』
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