日別アーカイブ: 2014年2月3日

これからの20年に向けて

昨年の夏、20年に一度の遷宮の年にあたる伊勢神宮を訪れた。
そこで、20年前の自分の思いを振り返り、20年後の自分の姿を思い浮かべた。
私の人生に合わせたかのように、20歳、40歳、60歳と節目の年に、伊勢神宮は遷宮を繰り返す。

今年は人生後半戦のスタートの年である。

年末に原発で立ち入りが制限されてきた飯館村や南相馬市、浪江町を訪れ、国道や電車が寸断され「ゴーストタウン」に近い状態となった町をずーっと見て回った。
ハンドルを握りながら、「教え子を再び戦場に送るな」とのスローガンのもとの「反戦教育」ではないが、「教え子を再び原発の恐怖に曝すな」といった風の「反原発教育」が必要なのではないかという思いが頭をグルグル回り続けた。

東北を回ってすぐに、これまで経験したことのない肺炎にかかり、1週間近く寝込んでしまい、復帰後も仕事でバタバタしているうちに、あっという間に一ヶ月が経ってしまった。

人生の正解は分からないが、今日創価大学通信教育部に願書を提出してきた。気分的には今日から学生である。地歴の免許を取るだけの科目等履修生なので、学生証はない。地歴科教育法を含む24単位の登録である。数学や地学を含め、幅広く本を読んでいきたい。

40歳を過ぎてから勉強を始めていくことにいささかの恥ずかしさを感じることもある。しかし、江戸時代に終わりに日本初の測量地図を作製した伊能忠敬は、50歳を過ぎてから天文学や算術を学び、56歳で全国を回り始めている。伊能忠敬に比べ10歳も若い自分が尻込みをする理由は見当たらないであろう。

この一年間の取り組みがこれからの10年間を大きく左右するであろう。そして、浪人生のように、勉強しなければただ日常繰り返される些事に流されるだけの生活に溺れてしまうという警戒感を保っていきたい。

また、ネットで世界遺産の本もたくさん注文した。ちょうど映画『ドラえもん 新・のび太の大魔境~ペコと5人の探検隊~ 』も来月に公開が予定されている。世界に対する驚きから初めてみようか。

そういえば、私の高校2年の終わりから3年生にかけての夢は、当時テレビで放映されていた『新世界紀行』という番組の制作に携わることであった。あのワクワクした気持ちをもう一度自分の心の中に育んでいきたい。そして伝えていきたい。

『楽しくて役に立つ「地理と地図」の本』

岩切洋一『楽しくて役に立つ「地理と地図」の本:誌上旅行で日本と世界を駆け巡る!』(PHP研究所 1997)を読む。
向山洋一氏が監修を担当していた教員向けの「勉強のコツ」シリーズの一冊で、執筆当時小学校の教諭を務めていた著者が、授業で生徒の興味の目線を集めるような小ネタを挟みつつ、地形や地図、暮らしや歴史まで包含する地理の面白さを語っている。
小・中学校の教員を主な対象とした内容の本であるが、地形図から昔の町の様子を想像したり、地政学から合戦の展開を考えたり、地理を学ぶ楽しみを充分に堪能することができた。

あとがきに書かれた著者の言葉を紹介したい。

地理は机上で思考操作をする学問ではありません。現場へ出て、そこに存在するさまざまな現象を発見し、追究するという非常にダイナミックな学問です。
みなさんのお宅の窓にも、通勤・通学する電車の車窓にも、楽しい地理の素材は実に多く映っているものなのです。ただ“ああ、坂だ”としか思わないのが普通です。
日頃の生活の中で地理的現象を見つける目を持つこと。
これが地理を学ぶ第一歩です。
(中略)今度はみなさんも(中略)何気ない風景から数多くの疑問を集めていけば良いのです。自分の足と頭で問題を解決できた時の喜びは、とても大きいものです。
これこそが地理の本来の学び方なのです。