日別アーカイブ: 2009年12月27日

パンフレット研究:成城大学

 1917年に澤柳政太郎によって創立された成城小学校に始まる。1925年に学園全体が牛込区から府下の砧村に移転し、後に校名にちなんで成城という町名がつけられ、高級住宅街のブランドと相俟って発展してきた大学である。
 創立者の澤柳政太郎は、京都帝大総長時代に、文部省の内意を受けて7人の教授の辞任を要求したところ、法科大学教授会を中心とした頑強な抵抗にあい、結 果、教授の任免に関する教授会の自治と総長の選挙制が確立したという、いわゆる「澤柳事件」で京大を退官した経緯を持つ。そのため「自由」や「個性」「創 造性」を尊重する教育方針を打ち立て、当時の民間教育運動に貢献していく。

 現在は経済学部、文芸学部、法学部に加えて、2005年に社会イノベーション学部が開設されている。社会イノベーション学部とは政策イノベーション学科と心理社会学科で構成され、心理学や社会学の視点を加味した総合政策的な内容となっている。
 創立者の精神を受け継いだのか、オールインワンキャンパスの利便性のためか、全学共通教養科目が充実しており、どの学部でも少人数ゼミを多数開講している。
受験倍率も平均して5倍近い。特に人気の文芸学部マスコミュニケーション学科は08年度は12倍となっている。

『ギブソン』

伊藤たかみ『ギブソン』(ポプラ社 2005)を読む。
ちょうど舞台は昭和が終わる1988年、とある郊外の町、中学2年生のグループがバンドを組み、練習を重ね、文化祭で「ガンズ・アンド・ローゼス」の曲を完奏するまでのドラマである。青春小説であると同時に、現在30代半ばの団塊ジュニア世代の懐古小説ともなっている。

ちょうど私自身も小説で描かれた1988年に中学3年生であった。昭和天皇の下血が毎日のように報道され、ニュータウン、金余り現象、消費税、受験戦争、 JーWAVEの開局など、急激に世相が変化していったあの時代感覚を共有している。小説を読みながら、周囲がどんどん先へ行っているのに、自分だけが取り 残されてしまったのではという当時感じた焦燥感を少しだけ思い出した。

『かもめ食堂』

群ようこ『かもめ食堂』(幻冬舎 2006)を読む。
大人版『魔女の宅急便』のような雰囲気の作品で、日本での退屈な生活やただ惰性のままに歩んできた人生そのものに疲れを感じた女性3人が、フィンランドで 食堂を営むという不思議な設定の作品である。ヘルシンキの人々との優しい交流の中で、自分を肯定し、自分の居場所を探していく女性の姿が印象的であった。
映画のための書き下ろしなので、淡々と脚本のように話が進んでいき、あっという間に読み終えてしまった。