日別アーカイブ: 2009年12月24日

パンフレット研究:創価大学

創価大学のパンフレットを読む。
1971年に創価学会の池田大作氏の「人間教育の最高学府たれ」「新しき文化建設の揺籃たれ」「人類の平和を守るフォートレス(要塞)たれ」の建学の精神を実現する大学として開学した新しい大学である。創価学会の初代牧口会長が教育に力を入れていたこともあり、創価学会の組織の一つという位置づけが強いと思われる。パンフレットには「学生のための大学」と謳われているが、やはり「池田の名誉、箔付けのための大学」という側面は否定できないであろう。

現在では経済、経営、法、文、教育、工学部の6学部が置かれている。パンフレットの所々に創立者を崇めるような言葉が羅列されているが、それ以外はいたって真面目な内容となっている。いたずらに就職や資格を売りにするのではなく、学部学科の説明にきちんと紙幅が費やされている。八王子駅からバスで20分の不便な場所にあるが、4年制大学で5倍、短大でも3倍の入試倍率が出ている。

大正大学や立正大学と同列には論じられないが、こじんまりとして面倒見が良さそうなので、信条を問わない法曹界や教員への就職を考えている一般学生にとっては一つの選択肢となるのではないだろうか。

『いま生きているという冒険』

石川直樹『いま生きているという冒険』(理論社 2006)を読む。
北極から南極までカヌーや自転車を使った旅やチョモランマ到達熱気球太平洋横断など、漫画のようなわくわくするような冒険日記である。あまりにスケールが日常離れしていて、つかの間のストレスの解消となった。
著者の石川氏は、1977年生まれの冒険家で、現代版植村直己のような人である。公式ホームページを見ると、現在は人間の剥き出しの本質が現れる冒険そのものを研究テーマにしているようである。全く羨ましい人である。

 中米諸国を旅していて、地続きである北米との落差にぼくたちは愕然としました。(中略)現在の世界は、貧しい人々から豊かな人々へ富が流れるようにできています。貧しい人々がいない限り世界が成り立たないとすれば、先進国と呼ばれる国々の住人たちが声高に語る環境問題や平和で平等な世界とはいったい何なのでしょう。南北問題という言葉の意味は学校で習っても、その原因が自分たちにあることをぼく自身感じてきたでしょうか。アメリカや日本はどうしていつも戦争を肯定する側に立ち、弱者を欲し続けるのでしょう。
ペダルをこぎながら、僕の頭もぐるぐる回転していました。教科書で覚えた知識はテストが終わった瞬間に消えてしまっても、旅で感じた疑問は炭火のようにいつまでも熱を発し続けます。ぼくは今もこれからも、これらのことをずっと考え続けていくでしょう。