日別アーカイブ: 2009年12月26日

パンフレット研究:武蔵野美術大学

武蔵野美術大学のパンフレットを読む。
東京小平市にあり、JR武蔵野線鷹の台駅から徒歩20分のあまり便利ではない場所にある。1929年創立の帝国美術学校に始まり、1935年に「同盟休校事件」なるものが発生して、多摩帝国美術学校(多摩美術大学)と分裂して現在に至るそうだ。
造形学部一学部の単科大学で、日本画学科、油絵学科、彫刻学科、視覚伝達デザイン学科、工芸工業デザイン学科、空間演出デザイン学科、建築学科、基礎デザイン学科、映像学科、芸術文化学科、デザイン情報学科の11学科で構成される。特に視覚伝達デザイン学科の入試倍率は12倍となっており、他学科も平均5倍近い倍率に達する難関大学である。

パンフレットは大変カラフルで、ぱらぱらと眺めるだけでも楽しめる内容となっている。原色豊かな作品があふれる日本画学科や空間をも活用した油絵学科、人間の認識の枠組みを壊していくような空間演出デザイン学科の作品がページに溢れ、一冊の美術書のような趣である。「彫刻とは『どこにもないもの』を探り当てること」「工業デザインとは、工業製品を通じて人を幸せにする仕事」などのキャッチフレーズが印象に残る。

『インストール』

綿矢りさ『インストール』(河出書房新社 2004)をお風呂で一気に読む。
昔読んだ気もするのだが、幸い話の内容は記憶の片隅にも残っていなかったので、ちゃんと楽しむことができた。
評論家風に内容を概括すると、受験一色に染まりつつあう教室にも、母と二人暮らしの家庭にも、そして現実を偽れるネット上のチャットレディの世界にも自分 の居場所を見つけられなかった女子高生。その彼女が、実の母の一言がきっかけで、再びありのままの自分の姿をこの現実世界に準えようとする青春小説ってな 感じだろうか。
とりわけ若い女性グループを支配する「間」というか「空気」に馴染めない女子高校生の本音がうまく表現されていると思う。