年末の最後の夜、年越しのカウントダウンが始まる1分前に、桐野夏生『OUT』(講談社 1997)を読み終えた。
登場人物の心の動きが丁寧に描かれており、サスペンスとも純文学とも言える中身の濃い作品であった。幼子を抱えた主婦が、家庭を顧みない夫をもののはずみで絞め殺す場面から物語は始まる。そして、事件を隠ぺいしようと画策する主婦のパート仲間と、事件を契機に一儲けしようとする男達の心の闇が話の展開とともに浮かび上がってくる。2002年に映画化されたそうだが、せっかくの読後感をぶち壊したくないので見ないことにしよう。
『OUT』
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