小林泰三『玩具修理者』(角川書店 1996)を読む。
第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作とタイムトラベルを主題としたSF中編小説「酔歩する男」の2編からなる。登場人物の独白で物語が展開していく。テンポもよく一気に読んでしまった。
「玩具〜」の方は、おもちゃを修理するように一度全てのパーツに分解されて組み立てられたヒトは果たして生物と言えるのかどうか疑問を提示する。また、「酔歩〜」では、登場人物がタイムトラベルに翻弄されながら、時間というものは過去から現在、未来へと因果律を踏まえて一直線に流れていくものなのかどうかという古典的な不安が描かれる。典型的なSFのプロットを踏まえている「酔歩〜」の方が面白かった。
『玩具修理者』
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