福本伸行『最強伝説黒沢』(2003~ 小学館ビッグコミックス)を1巻から6巻まで一気に読んだ。
高校を出て26年間ひたすら建設現場で働いて、彼女も親友もいない独身男黒沢が、自らの存在感を求めるあまりにはちゃめちゃな事件に巻き込まれていく。主人公黒沢は、骨身を削って愚直に日々働いているにも関わらず、部下から慕われず、下手な画策をして墓穴を掘っては職場で浮いた存在になっていく。現代日本は会社仲間やファミリー、若者を中心に動いていくものである。部下からの厚い信頼もない貧乏な中年男黒沢は、職場でも私生活でも疎外感から逃れることができない。思えらくは現代版プロレタリア文学のような設定で話は展開していく。
居酒屋で夜一人、なんこつ揚げとライスセットを頼んでいる姿は、私の独身時代の姿と重なって、哀れみと共感を禁じえなかった。頑張れ、黒沢っ!!