今日もまた落ち着かない一日を過ごした。いよいよ発表は明日に迫った。
窪田般彌『物語マリーアントワネット』(白水社 1985)を読む。
オーストリア帝国の女帝マリア・テレジアの愛娘としてルイ16世に嫁いだマリーアントワネットの一生を親愛を込めて描く。一般にマリーアントワネットというとフランス財政を逼迫させるほどの豪奢な生活を送り、重税に苦しんだ民衆の反感を買い、やがて断頭台に立たされる革命の憎まれ役である。しかし、マリーアントワネット一個人に歴史の転換点の役を荷なわせるのは間違いであり、あくまで唯物論的展開をなす歴史の発展の一局面にしか過ぎない。民衆による革命の正当性の分かりやすいエピソードとして祭られたに過ぎず、そうしたマリーアントワネット的な敵役を作ってしまうという民衆の側の心理状況を分析していくことが優先される。