ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』(早川書房 1989)を読む。
前から読もう読もうと思っていたのだが、時間の都合上、本棚で埃をかぶっていた本である。しかし手に取ってみて、世の中にはこのような本があったのかと、目から鱗がこぼれるような思いである。人工的に知能を高められたチャーリィ・ゴードンの知能を読み書き能力の向上に伴う喜びの経過報告に始まり、究極の知能を手に入れた後、また元の「精神遅滞」の状態へと戻っていくまでの恐怖と悲嘆の報告でもって結末を迎える。チャーリィの愛に飢えた孤独を緻密に描きながら、逆に愛や友情とは相容れない人間の差別感情を浮き彫りにする。
『アルジャーノンに花束を』
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