月別アーカイブ: 2021年10月

『はじめよう微積分』

川久保勝夫『はじめよう微積分』(遊星社 1991)をパラパラと読む。
著者自身が本書の目的を「教科書のように無味乾燥に書かれたものと、興味本位で、結論だけ述べてお茶を濁すというやり方のもの(中略)の両者のギャップを埋める」ものだと述べているように、簡単な数式やグラフを用いて、微積分の全体像について分かりやすく説明している。

著者は「車の瞬間速度が微分だ」と述べる。そして刻々と変化する車の走行距離のグラフを示した上で、「微分とは、関数をグラフで表したとき、接線の傾きを求めること」と説明する。
微分が傾きを求めるのに対し、積分は面積を求めることにあると述べる。そして、複雑な曲線も簡単なもので近似し、その極限として走った距離および面積をとらえる」のが積分だと説明する。

各家庭にある電気のメーターは積算電力計と呼ばれ、時々刻々変わる電流の量をグラフに表したときの面積としてもとめられます。

「強硬ポーランド EU法に『違憲』判断」

本日の東京新聞に、東欧の成長株であったポーランドが、EU法が国内法よりも優先するEU加盟の原則を否定する司法判断を下したとの記事が掲載されていた。ポーランドはEUの域内の人や物、金の移動の自由化の恩恵をたっぷりと受けている思っていた。2020年の一人当たりGDP は約13,640ユーロで、世界上位3分の1に入り、ハンガリーと同程度で、チェコに次いで安定した経済・社会環境を誇っている。

では、なぜポーランドがEUに反旗を翻したのであろうか。
私が勝手に考えた理由は地球温暖化である。2015年に開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)でパリ協定が採択され、EUは2030年までに温室効果ガスを1990年比で40%削減することを決定している。

しかし、ポーランドは国土の半分ほどが古期造山帯に位置しており、いまだに石炭火力発電が主流となっている。とてもじゃないが、EUが定めた削減目標の達成は困難である。目標未達成は国際義務違反となってしまう。そうした環境政策が影響しているのであろうか。
この説はあくまで個人的な見解です。

「リビア民主化なお遠く」

本日の東京新聞朝刊に、リビアの混乱が報じられていた。
リビアは今回の地理Aの中間考査の範囲でもあった。新期造山帯の「狭まる境界」付近に位置しているため原油が産出される。そして、資源国にありがちな社会主義による原由の国有化(私物化)を武器に、カダフィ大佐が独裁体制を敷いてきた国である。2011年にリビアの若者がTwitterでデモを呼びかけた「アラブの春」によって、カダフィ大佐が殺害され、リビアは民主化に移行したはずであった。しかし、記事を読むと、石油利権を巡って隣国が干渉するため、安定した政権いまだに発足していないようだ。
独裁政権崩壊後の民主化プロセスの成功例は、太平洋戦争後の日本以外あまり聞かない。それはなぜか、と書いていくときりがないのでこのへんで。

「ウィシュマさん命の記録」

本日の東京新聞夕刊記事より。
授業中に紹介した、名古屋入管の施設で収容中の3月に亡くなったスリランカ女性ウィシュマ・サンダマリさんの事件の続報である。入管施設で死の直前、彼女や支援者の申し出が無視され、その記録映像すら闇に葬られようとしている中、その記録が出版されるとのこと。

この事件はウィシュマさん個人の問題ではなく、日本の入管施設の問題、引いては日本の現状の移民・難民政策の是非が問われている。私はそう考える。

『堆積学』

庄司力偉『堆積学』(朝倉書店 1971)をパラパラと読む。
堆積学とは何ぞやと思い手に取ってみた。著者自身も地層学ではなく、堆積学の定義付けから論を始めている。地層というと、現在という時間における土の層に限定されてしまい、全体が見えにくくなってしまう。堆積学は物理学や化学、生物学の観点から、風化・浸食・運搬・沈積を繰り返した結果の地層だけでなく、岩石や鉱物を含めた生成過程全般を扱う総合的な学問である。