月別アーカイブ: 2014年3月

『喪服未亡人 四十九日の情事』『性愛婦人 淫夢にまみれて』 

0429_seiai mofukumiboujinshijukunichinojoji2

先週、成人映画専門の上野オークラ劇場で、3本立てのうち、関根和美監督・脚本『喪服未亡人 四十九日の情事』(2013 OP映画)、池島ゆたか監督『性愛婦人 淫夢にまみれて』(2010 OP映画)の2本を観た。
両脇に荷物を置いてガードを固めたので、「妨害」も近づいて来ず、ゆっくりと鑑賞することができた。
『性愛〜』は、ピンク映画界の巨匠として知られる池島監督がメガホンをとっており、2010年に第23回ピンク映画大賞を受賞している。妻が精神的におかしくなってしまったと悩み続けている元高校で地学を教えていた夫が主人公なのだが、実が精神的病に冒されていたのは夫の方であり、歪んだ夫婦愛や不倫と性愛との関係が上手く表現されている。
『喪服未亡人』は途中寝てしまったのだが、いかにもピンク映画的な女優の演技が興味深かった。

意外にもカップルでくる客も多く、饐えたような匂いが充満した映画館という昔のイメージはなくなっていた。他の人とエロスを共有するという体験は、性欲を持った自分自身の肯定にも繋がっていくので、ネット全盛の今、見直されていいものの一つであろう。

『写真のABC』

猪俣重喜『写真のABC:上手な撮影のコツと現像・引伸し』(金園社 1991)を数ページ読む。
元は1980年(もっと古いのか?)刊行の本なので、カラーフィルムの説明から始まり、写真の現像に用いる薬品の種類や方法、引伸機の説明など、カメラの歴史のような本であった。現在でも使えるような視点で読んでいたので、あまりに内容が古すぎてページを繰る手が止まってしまった。

『京都・宇治 浮舟の殺人』

大野優凛子『京都・宇治 浮舟の殺人』(実業之日本社 2004)を5分の4程読む。
タイトルに「浮舟」とあり、章題も全て源氏の巻名からとったものだったので、『源氏物語』をモチーフにしたサスペンスなのかと思い手に取ってみた。しかし、『源氏』はほとんど関係なく、強姦のトラウマに苦しむ女性警察官が主人公の推理小説であった。『源氏』を期待していただけに裏切られたような感じがして、あまり物語世界に入り込めなかった。女性の心理を考察する以前に、話の展開ができすぎていて興ざめであった。