村山斉『宇宙は何でできているのか:素粒子物理学で解く宇宙の謎』(幻冬舎文庫 2010)を読む。
カブリ数物連携宇宙研究機構長を務める著者が、量子力学の発展から最先端の素粒子研究の発見を分かりやすくまとめ、クォークを取り巻く「力」の解析が宇宙の謎に迫ると述べる。
あらゆる「粒子」が「波」のように振る舞い、あらゆる「波」が「粒子」のように振る舞うという禅問答のような仮説から量子力学は始まっていく。村山氏は計算式を一切用いずに、たとえ話やこぼれ話を用いながら、私のようなずぶの素人にも興味が伝わるように丁寧に解説を加えている。途中、「量子場の理論」だけは理解が追いつかなかったが、その他はにわか物理学者になった気分で、ミクロとマクロの世界を味わうことができた。
著者は10の27乗の宇宙と10の−35乗の素粒子の世界は密接につながっているということを強調し、そのどちらにも援用できる物理学の法則の存在するはずだと指摘して論を終えている。
『宇宙は何でできているのか』
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